表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/173

第五十七話 妹の“課題作品”が兄たちの手で改造されまくり!? 完成品がもはや別物です!?

秋の終わり、学園では恒例の「創作課題提出週間」が始まっていた。

魔法刺繍、調合薬、詩作、魔道具の設計など――提出形式は自由。テーマは、“自分の魔力を活かした創作物を一つ仕上げること”。

一年生のアリアにも、その課題が与えられた。


「私は、バッグを作ることにしました!」


明るく発表したアリアに、クラスメイトのエマとクラリスは笑顔で拍手を送ってくれた。

見た目は可愛く、日常使いもできて、魔法でちょっと便利――そんなバッグを目指していた。

(前世でも少し裁縫をやっていたし、魔法刺繍も今の私ならできるはず!)


希望に満ちたその晩。アリアは何気なく、そのことを夕食時の家族の団らんで話してしまった。


「バッグか……素材は何を使うんだ?」

「どの程度の魔力を通す仕様にするつもりなんだ?」

「重量制御と防御結界も入れておいた方がいいな」


――レオン兄様(17)とノア兄様(19)による“課題対策作戦会議”が、即時開幕したのである。


「え? ちょ、ちょっと待って、これは私が作る課題で――!」


「分かっている。だからこそ、準備は完璧に」

「設計補助と試作モデルはこちらで担当する。実際の製作工程は君に任せる。つまり、ルール違反ではない」


「ズルすぎる理論きたぁぁぁ!!」


そして数日後。アリアの机には“試作品その一”が鎮座していた。


「……バッグが勝手に浮いた!? なんで!?」


「移動補助魔法だ。使用者が転倒した時、自動で立ち上がって肩に戻る」


「そんな自動帰還機能、いらないからぁぁ!」


次なる試作品には、なぜか小型キッチンが内蔵されていた。


「なにこれ!? コンロがついてる!? 鍋まである!?」


「旅先での食事に便利だろう」

「だからって、これはもはや“携帯住宅”!!」


おまけに魔力感知センサーで防犯対策も完備。

自律行動機能で夜は勝手に片付けを始める。


「……わたし、“普通の可愛いバッグ”を作りたかっただけなのに……」


もはや本人の意思などどこ吹く風。

兄たちの愛(という名の魔改造)は加速し続け、最終的に完成したのは――


・空間拡張魔法(収納容量:四畳半)

・浮遊機能(ホバリング追従)

・軽量化術(10kg → 500g)

・自動防衛(盗難時、犯人に電撃)

・夜間照明付き(光量自動調整)

・自己修復機能(切れ目・傷も自動回復)


……などなど、“携帯型魔法要塞”としか言いようのない代物だった。


「兄様たち……お願いだから、“課題”の主旨を思い出して……」


「これでこそ、アリアらしい」

「アリアの魔力量に見合った機能を組み込んだまでだ」


「兄フィルター強すぎるよぉぉぉ!!」



◆ ◆ ◆


提出当日。

バッグを持って会場に入ったアリアに、教師たちは硬直した。


「……レイフォード嬢、これは……あなたの作品なのですか?」


「はいっ! 最後の刺繍は全部、自分でやりました!」


「機能設計の緻密さが、王都の魔道具研究所レベルなのですが……」


「バッグの話をしてるんですけどおおおお!!」


あまりの完成度に教師陣は混乱し、他の生徒たちもざわざわと集まってくる。


「……バッグが浮いてる」

「なんか……喋ってない?」

「音声アシスト!? え、魔導AI搭載されてるのこれ!?」


騒然となる教室。

結局、アリアの作品は「一年生課題としては規格外」と判定され、**“特別研究作品扱い”**として別展示されることとなった。


「可愛い、普通の、バッグを作りたかっただけなのにいいぃぃ……!」



◆ ◆ ◆


その夜、レイフォード邸。


「よかったな、アリア。ちゃんと評価された」

「次は収納空間に温泉機能を追加するのもありだな」


「しません!! 絶対にしませんからぁ!!」


アリアの“課題バッグ”、その完成度と兄たちの過保護っぷりは、しばらくの間、学園内で語り草となったのだった――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ