表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/171

第五十六話 妹を王子が独占!? お兄様たちの“王宮奇襲作戦”が決行されました!!

アリア・リュミエール・レイフォード――初等学園一年生、魔法研究会の副会長。

つい最近までは、目立たず穏やかに学園生活を送りたいと思っていた彼女だが。


「本日もよろしくお願いします、副会長」


「は、はいっ……! で、でも今日はただの調査書類まとめですよねっ?」


「いや、それと……王家文庫にある結界術の古文書も、君と一緒に確認したいと思ってね」


そう、最近、王太子アルヴィン=レグニス・ルシアス殿下との接触が……えらく増えている。


 


そしてこの日もまた――


王宮の地下、静かな書庫の一角。

アリアと王太子は並んで腰掛け、古文書のページをめくっていた。


「ここの“次元安定式”……僕では読めなかった。けれど君なら、何か感じられるんじゃないかと思って」


「そんな、私なんて……」


(落ち着いて、アリア。これは学術的な話。学術的な話!)


 


だが、問題はそこではなかった。


――その情報を知ってしまったレイフォード兄ズである。

 


* * * 



「ノア兄様……これは“接触回数が限界を超えた”ってことでしょうか……?」


「もう“接触”じゃなくて“長時間拘束”のレベルだな」


「……つまり、これは――“攫われた”と同義だな」


レオンの言葉に、ノアの眉間がピクリと動いた。


「護衛を突破して王子に接近してる時点で、それはもう“非常事態”だ。……よし、緊急王宮介入、発動だ」


 


その三十分後。

王宮の正門に、整然と並ぶレイフォード家の執事隊と、護衛騎士団。


「本日は、我がレイフォード家令嬢アリアの“安全確認”のため、視察にまいりました」


「……兄様たち、何してるのぉぉぉ!!?」


 


◆ ◆ ◆ 


王宮地下書庫。

アリアが軽く悲鳴をあげた直後、扉が開け放たれた。


「アリア、大丈夫か!? 今すぐここを離れるぞ!」


「レオン兄様!? ノア兄様まで!? ていうか、どうやって入ってきたの!? 王宮だよ!?」


「それは“レイフォード家式・王宮突入ルート”を使えば朝飯前だ」


「そんなものがあるのがまずおかしいのおおぉ!!」


 


「ご安心を、アリア嬢。お迎えにあがりました」


後ろから、まさかのギルバート執事隊長まで登場。


「この王子殿下に、これ以上近づけるわけには参りませんので」


「ギルバートさん、それ“謀反”レベルの発言ですからあああ!!」


 


◆ ◆ ◆ 


そんな混乱の中、肝心の王太子・アルヴィンはというと――


「あの……僕が何か不快にさせてしまったなら、謝罪を――」


「いえ、殿下が悪いのではございません……! ただ、兄様たちが、こう……過剰なだけで……!」


アリアが必死に弁解するも、アルヴィンは微笑むばかり。


 


「いいや、分かったよ。確かに、君のお兄様たちは――」


王子はゆっくりと立ち上がり、レオンとノアの前に歩み出た。


 


「……最強の“対王子防衛兵器”だと」


「えっ?」


「は? あ、うん、正しいとは思うけど」


 


まさかの認定に、アリアは額を抱えた。


「もうっ……これじゃあ“普通に話す”ことすら許されないよぉぉぉ……!」


 


だが、その一方で。


(アリアの反応を見ていると、心地いいな)


アルヴィン王子は、そんなことを思っていたのだった――。


 


そしてその夜。

レイフォード家の食卓にて。


「王子との距離感、見直しが必要だな」


「よし、次は“王宮用・兄の着ぐるみ”を作って、常時同行させるか……」


「さすがにそれはやりすぎですうううう!!」


こうして、アリアの日常はまたしても兄たちによって非常事態モードに突入するのであった。


――次回、ますます過保護度アップ!? お楽しみに!!


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ