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第四十三話 妹の“野外学習・二日目”も過保護MAX!? 朝ごはんも訓練も全部兄たち仕様です!!

野外学習二日目の朝。初夏の森には鳥のさえずりが響き、爽やかな空気が漂っていた。


……が。


「……これ、ほんとに朝食?」


アリアは、目の前にずらりと並べられた料理の品々に、若干引きつった笑みを浮かべていた。


「高タンパク・低脂質の朝粥」「季節野菜の魔力活性スープ」「焼き立てのハーブパン数種」


どれも従者が準備した、レイフォード家仕様の本格メニューである。


「これ、普通に王城の朝食だよ!? なんで森の中でここまでやるの!?」


「アリアに必要な栄養を考慮した結果だ」


ノアの真顔に、レオンが続ける。


「調理班は“見学”させてもらった。問題のある動きはなかったが、念のため警備は強化しておいた」


「朝の体操も済ませてあります。護衛隊式ですけど」


「それ体育の時間にやるから!!」



◆ ◆ ◆


午前中は魔法植物の観察と記録が主な活動だった。


生徒たちは三人一組でチームを組み、森の奥へ足を踏み入れていく。


「えっと、この葉っぱが……“リュミナ草”かな? 魔力で光るって……わっ、ほんとだ!」


「こっちは“ヒューリ花”かな。毒性があるって書いてある」


そんな中。


「アリア様、お足元にお気をつけて」


「この辺り、地盤がやや緩いです。滑らないように」


兄たちの護衛陣がさりげなく(さりげなさすぎて目立つ)距離を保って付き添っていた。


「せめてもうちょっと隠れてぇぇ!!」


「いえ、万が一のために“転倒時対応魔法”を準備しております」



◆ ◆ ◆


昼食は現地調理のカレー。


「こういうのが野外学習の醍醐味だよね~!」


「カレーって失敗しにくいし!」


「って思うじゃん? でも兄たちが“味見担当”で一人前ずつチェックする羽目になってるんだよぉぉお!!」


アリアは半泣きで両手を広げた。


ノアとレオンは、真剣な顔で各班の鍋を確認しながら、うっすらメモを取り始めていた。


「隠し味に果物を入れすぎると、魔力の流れを鈍らせる可能性がある」


「なるほど、では次回はスパイス比率の講義から始めるか……」


(兄たち、完全に野外学習の“主催者”ポジションにいる……!)


最後の活動は班対抗の協力ゲーム。


「大丈夫、アリア様と一緒の班だもん! 絶対勝てる!」


「足場悪いところ、ぼくがサポートします!」


(あれ、なんか妙に男子が多くない?)


……その裏で、兄たちによる「編成工作」が行われていたことを、アリアはまだ知らなかった。


一泊二日の学びの時間。


学んだのは、協調性? 魔法植物の知識? それとも――兄たちの本気おそろしさだったのかもしれない。



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