第四十一話 妹、魔法実験で大爆発!? でも教室が拍手喝采!?
春の午後。陽光が窓から差し込む中、初等学園一年生の教室では、実技授業の一環として「魔道具を用いた初級魔法の制御実験」が行われていた。
「それでは、次。レイフォード嬢、どうぞ」
「はいっ」
アリアは自分の席を立ち、小さな魔法陣が組み込まれた実験台へと歩いていく。
課題はシンプルだった。火属性魔石に魔力を流し、一定時間“穏やかな炎”を灯し続けるという初歩的な制御訓練。
だが。
(やること自体は簡単なんだけど……魔力量を“抑える”ほうが難しいんだよね、これ)
そう。アリアの魔力量は同年代の生徒とは比較にならない。
慎重に、ゆっくりと魔力を注ぐ。けれど――
ボンッ!!!
軽い爆発音とともに、火花が派手に舞った。
「ひゃあっ!?」
「ぎゃああ!?」
「あっつ! でも焦げてない!! すごいっ!?」
実験台の周囲は一瞬、熱風に包まれたものの、事前に仕込まれていた耐火結界が発動し、事故には至らなかった。
教師たちは一瞬凍りついたが、やがて指導担当のベラミー先生が慌てたように駆け寄った。
「れ、レイフォード嬢!? ご無事ですか!?」
「え、えっと……はい、大丈夫です……」
アリアは、頬を赤らめながらも平然と立っていた。
「むしろ魔力の質が高すぎて、制御装置のほうが耐えきれなかったようです……」
教師陣がざわつく。
「初級魔石であの反応……」「魔力供給の安定性はむしろ理想的だった」「これは研究対象として――」
いつの間にか、クラスメイトたちが拍手を送っていた。
「すごいよアリア様!」「完全にコントロールしてたよね!?」「演出かと思った!」
(え、なにこれ拍手喝采……!? 私、ただちょっと爆発させただけなんだけど!?)
アリアは内心で悲鳴を上げつつも、微笑みながらぺこりと頭を下げた。
(これ、また家で兄たちに詰められるやつだ……)
その予感は、放課後すぐに的中した。
◆ ◆ ◆
「アリア……また“爆発”したと聞いたが」
屋敷に戻るや否や、ノアが冷ややかな声で問いただしてくる。
「火属性魔石って、あれ爆発しやすいんだって! あと結界もちゃんとあったし、先生も褒めてくれたし!」
「それは問題の本質ではない」
レオンは“魔道具事故例100選”の本を片手に突っ伏した。
「……アリア。次の授業、見学したいんだけど」
「やめてぇぇぇぇ!!」
その日も、レイフォード家には賑やかな夜が更けていった。




