表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/172

第三十九話 妹の“図書委員”任命でまさかの波乱!? 読書のはずが監視と護衛がフル稼働!?

初等学園の朝礼で、学年担任のリリアナ先生が明るく告げた。


「さて、今学期の図書委員を発表します。三年生代表、アリア・リュミエール・レイフォードさん」


「――えっ」


教室中が一斉にざわついた。


「レイフォード令嬢って、あの過保護兄たちの……!?」「図書室って、静かなとこじゃないの!? 大丈夫なの!?」「騎士団が見張ってたりしないよね!?」


アリアは席に座ったまま、ぽかんと口を開けていた。


(え、ちょっと待って、なんで私!?)


先生はにこやかに続ける。


「アリアさんは成績優秀、かつ本への理解も深いので選出されました。よろしくお願いしますね」


(いや、理由はわかるけど……兄たちにどう説明すれば――)



◆ ◆ ◆


案の定、屋敷では騒動が起こっていた。


「図書委員……? アリアが? 一人で? 毎日昼休みに図書室で?」


ノアの眉がピクリと動き、レオンはすでに“図書室見取り図”を机に広げていた。


「出入口は二つ! 本棚の陰に死角が! この配置はまずいぞ、絶対に誰かが隠れるって!!」


「いや、まず常駐護衛を三人に増やすべきだ。静音魔法を使ったステルス型なら目立たない」


「あと念のため、本の間に監視式魔導具を仕込んでおく?」


アリアは、スープを飲みながら小さくため息をついた。


「お願いだから、私の“静かな時間”を奪わないで……」



◆ ◆ ◆


図書室の昼休み。


アリアは、静寂の中、借り出し記録を確認しながら机に向かっていた。


(やっぱり本に囲まれてる時間って落ち着くなぁ……)


しかし――


「アリア様! 本棚の影、異常ありませんでした!」


「こちら窓際も異常なしです!」


「……大声やめてぇぇぇ!!!」


護衛の少年騎士たちが、完璧すぎる仕事をしてくれるせいで、図書室の空気が完全に“緊張状態”になっていた。


「ちょっと、あの人たち、誰……?」

「護衛? まさかアリア様の……?」「静かにしてほしい場所で、逆に目立ってない?」


アリアは顔を真っ赤にして、机に突っ伏した。


「もぉぉぉぉ……なんで、普通に過ごすこともできないの……」



◆ ◆ ◆


その日の放課後。


アリアが帰宅すると、レオンが満面の笑みで出迎えてきた。


「今日の巡回報告だよ! 昼休みに近づいた男子はゼロ! あと、お菓子差し入れた先生がいて、感想付きリストもまとめておいたよ!」


「いらない!!!」


アリアは全力で否定した。


ノアは少しだけ微笑を浮かべる。


「安全が確保されたなら、それでいい。……だが、ストレスはためないように」


アリアは、疲れたように笑って言った。


「うん……でも、もう少し、普通の“静けさ”がほしいな……」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ