第三十三話 妹の“魔道具実技”で学年騒然!? アリアの“無自覚チート発動”に教師たちが震える!!
春の陽射しが差し込む実技演習場――。
今日は初等部の“魔道具演習”授業の日。
学園では基礎魔法の応用として、様々な魔道具を実際に使ってみる実習が定期的に行われていた。
「さあ、皆さん。今日はこの“魔力測定水晶”を使って、自分の魔力量を計測してみましょう」
リリアナ先生の指示に従い、生徒たちは順番に前に出て水晶に手をかざしていく。
「エマ=ハート、魔力量標準。安定してますね」
「リリィ=クロフォード、魔力に揺らぎあり。でも成長の兆しが見られます」
順調に進んでいく中、いよいよアリアの番がやってきた。
「アリア・リュミエール・レイフォード嬢、どうぞ」
アリアは前へ出ると、透明な水晶玉の前で深呼吸した。
(普通にやれば、いいだけ)
兄たちから「目立つな」「壊すな」「抑えろ」と言われたことを思い出し、彼女は静かに魔力を流し始める。
水晶の中心が、ふわりと光り……
次の瞬間――。
バチィンッッ!!
閃光。
衝撃。
――水晶、粉砕。
「…………え?」
呆然とするアリアの前で、測定用の魔道具が綺麗に粉々になっていた。
教室が一瞬、静寂に包まれる。
「い、今のは……!?」
「何が起きたの!?」
「壊れたぁぁあ!!」
リリアナ先生が駆け寄ってくる。
「アリアさん、大丈夫ですか!? 怪我は!? ……魔力の制御、失敗したんですか!?」
アリアは両手を見つめながら、呟いた。
「そんなに力、入れてなかったんですけど……」
「…………」
生徒たちの視線がアリアに集中する。
その中に、興味と驚き、そして……畏れが混じっていた。
◆ ◆ ◆
数時間後。
教師たちが集まる職員室。
「……完全に、“規格外”です」
リリアナ先生はため息をつきながら、報告書を机に置いた。
「水晶の耐魔力量は、成人魔術師の全力でも壊れない設定なのよ。それが……あれだけ軽く、簡単に……」
「本人に自覚がないというのが一番恐ろしいですね」
魔導学担当のシュトラウス教諭がそう呟いた。
「しかも、測定機器だけでなく……」
彼が示したのは、教室に設置された補助的な魔道具――魔力の流れを可視化する装置の記録。
そこには、アリアが手をかざした瞬間、まるで星が爆ぜるような魔力の奔流が描かれていた。
「これ、本当に七歳か……?」
「飛び級どころか、王立学院でも通用するレベルだ」
「いや、それでも足りないかもしれん……」
教師たちがひそひそと話し合う中、リリアナ先生はただ一人、ニヤリと笑った。
「ふふっ。さすが私の教え子ね」
◆ ◆ ◆
その夜。
レイフォード家の食卓。
「で、なんで水晶を爆破したんだ?」
レオンが眉をひそめる。
「……してないもん。ちょっとだけ魔力を流しただけだもん」
アリアがむくれる。
「壊れたってことは、制御が不十分だったということだ」
ノアが真顔で言った。
「先生もびっくりしてたし、ほかの子たちの目も……ちょっと怖かったかも」
「……アリア」
レオンが立ち上がる。
「明日からは、僕が毎朝魔力量のチェックをしてやる」
「えっ、ええっ!? なにそれ!?」
ノアは黙ってその場を去り、数分後、厳重な制御訓練メニューの書かれたノートを持って戻ってきた。
「一日三十分、基礎から再構築する」
「えええぇぇぇ~~~!!?」
こうして、アリアの“制御強化週間”が勝手に開始されたのだった。




