第十八話 妹のために校内行事をプロデュース!? “アリアと歩く春の遠足”計画、始動しちゃいました!?
それは、春の陽気が満ちはじめた頃のこと。
「来週、全学年合同の“春の遠足”が予定されています」
担任教師の何気ない一言が、全校に希望と混乱をもたらすきっかけとなった。
アリア:「わー……遠足なんて久しぶり! お弁当とか用意して……リリィやエマとおしゃべりして……」
エマ:「楽しみだねー。アリアってたしか、兄妹で遠出とかあんまりしないんだっけ?」
アリア:「兄様たちは“遠出=危険”って思ってるから……まあ、今回は学園主催だし、大丈夫、だと……」
──そう、思っていた。
【遠足実施情報・公示後】
ノア:「学園側の警備手配が甘い。外部との接触も増える。リスク高」
レオン:「ていうか、アリアが誰と一緒に歩くのか……って考えたら、夜しか眠れない!!」
ノア:「計画に参加する。いや、計画を主導する」
レオン:「つまり……“アリアを中心とした安全かつ楽しい遠足”を企画するってことだな!?」
ノア:「その通りだ。プロジェクト名――《Project A・W・S》」
※この瞬間、兄たちの手によって学園公式行事が、
**“妹のための遠足”**へと方向転換した。
【翌日・職員会議】
教師:「この申請書……“生徒の行動ルート安全保証案”に“歩行速度調整ポイント”……?」
教師B:「っていうかこれ、完全に軍用の警備マニュアルじゃない!?」
教師C:「“推奨同行者一覧”ってなに!? “妹に好意を持っていない者”に限定されてる!?」
教師D:「おかしいよ! 校外学習のはずだよ!?」
【その後、広報委員による告知内容】
『今年度春の遠足は“生徒が楽しみ、保護者も安心できる構成”を目指し、
特別計画【A・W・S】(アリア嬢含む班に適用)が試験導入されます』
アリア:「アリア嬢含む班ってぇぇ!?!?なんで私が特別扱いぃぃ!?!?」
エマ:「ご丁寧に“進行ルートに兄2名の巡回支援あり”って書いてあるよ」
アメリア:「前代未聞だわ。兄による現地偵察報告付き遠足なんて」
リリィ:「ちなみに“おやつ交換は3人まで”って制限ついてる。きっと“過剰接触防止”ね」
【遠足当日】
朝、学園から出発する馬車の前。
レオン(護衛服):「遠足とは、すなわち“妹の安全を確認する儀式”……!」
ノア(騎士装束):「王都外縁部の魔獣反応はゼロ。風向き南南東。気温、快適」
教師:「生徒より真剣な表情してるのやめてくれる!?」
【移動中】
エマ:「ねえアリア……これってもしかして“私たちが歩いてる道”、特注の花びら撒かれてない?」
アメリア:「散布係いたわね……数人。香りも付いてた」
リリィ:「ロマンティックではあるけど……やりすぎ」
アリア:「もうやだぁぁぁぁぁああああ!! 恥ずかしいよぉぉぉ!!」
【昼食タイム】
お弁当タイム。
アリアのランチシートには、**“兄手作りの防音結界”**が自動展開。
レオン:「安心して食べてね♡」
ノア:「会話内容を守ることも、我々兄の使命だ」
アリア:「もう……! もう、食べるっ! 食べないとやってられないっ!!(もぐもぐ)」
【その日、学園広報部が記録した遠足の写真タイトル】
『咲き乱れる花の中、“守られし白き姫”』
『妹の笑顔、それが全て──過保護兄たちの奮闘記』
『アリアと歩く春』
※後日冊子化され、父親が五部購入した模様。
【帰宅後】
アリア:「疲れた……でも……楽しかった……かもしれない……」
ノア:「次は夏の避暑行事だな。今からルートを考えておくか」
レオン:「水辺の接触対策……水着の安全性……うん、がんばる……!」
アリア:「がんばらないでぇぇぇぇぇぇぇ!!」




