第十五話 特別講義で王子様が来た!? アリア、なぜか王太子と魔法デュエルする流れに――!!
それは、学園に突如として届いた一枚の通達から始まった。
【王都魔法局より通達】
来る水の曜日、王立学院より“王太子殿下”による特別講義が行われます。
「えっ……!? 王太子って、“あの”王太子様!? 王国の……っ!?」
「ひぃぃ、身分違いすぎて心臓止まりそう……」
「でも、すっごく優しくて頭も良くて魔法もすごいって噂だよ……王太子様……!」
女子たちがそわそわと噂する中――
アリアは、紅茶を飲みながら静かに思っていた。
(関係ないよね、わたしには。だってただの飛び級聴講生だし、空気みたいに過ごそう……)
※数日後、その思いは無残に砕け散る。
【当日・講堂】
王太子・アルヴィン=レグニス・ルシアス殿下。
金色の巻き髪に整った横顔、落ち着いた所作と知的な瞳。
周囲を圧倒するカリスマと、柔らかな物腰をあわせ持つ“完璧王子”。
そしてなぜか、その視線が――アリアに真っ直ぐ向けられていた。
「……そちらのアリア・リュミエール・レイフォード嬢。魔力制御において優秀な成果を出していると聞きました。
ぜひ、わたしと模擬デュエルをお願いできますか?」
会場:「………………………………え?」
アリア:「…………………へ?」
【デュエル開始10分前・裏庭】
アリア:「なんでこうなったのぉぉぉぉ!!??」
エマ:「いやもう、王太子様が直々にご指名って……断れないよね」
アメリア:「安心なさい。仮に勝っても、処されるような国じゃないわ」
リリィ:「※ただし兄たちの制裁を除く」
教師:「デュエル・スタンバイ!!」
【兄たちの対応】
ノア(王都の騎士学舎にて):
「……王太子がアリアに手合わせを申し込んだ? 早急に帰還準備を」
レオン(執務中):
「妹に指一本触れたら国王でも許さん(剣に手をかける)」
【決闘場・魔法結界内】
アルヴィン王太子:「では、参りましょう。アリア嬢、手加減は不要です」
アリア:「ひ、ひぃぃぃ……(なにこの“王子様の圧”!? こわいぃぃ!!)」
先生たち:「まさか本当に実現するとは……」「いやでも見たい!」
そして──
「──魔法展開、“風の剣”!」
「“光糸結界”!」
アリアの術式展開速度に、会場ざわつく。
その動きに、王太子が微笑む。
「やはり……すばらしい。制御も、構成も、すべてが美しい。まるで、舞だ」
アリア:(褒められてるのにこわい!!)
そのまま、二人の攻防は優雅で静かな応酬に──なるはずだった。
──そこへ乱入者。
「妹の“模擬”でも、過剰な魔力投射はNGだぁぁぁぁああ!!」
「姫には姫のペースがあるんだぞぉぉぉぉお!!!」
**レオン(アリアの溺愛兄)による“妹への愛称”=「姫」**
※兄たち、学園に緊急突入。
教師:「結界を解除せずに!?」「ど、どうやって入ったの!?」
アルヴィン王太子:「……なるほど。あの兄君方ですか」
アリア:「もぉぉぉぉぉぉぉお!! やめてぇぇぇぇぇ!!!」
【後日談】
模擬デュエルは、双方ノーカウント扱い。
王太子は「また会える日を楽しみに」と言い残して帰還。
そして、兄たちには学園側から「今後の乱入は控えてください」との厳重注意が下された。
アリア:「わたしの人生、どうしてこうなるのぉぉぉ!!」




