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赫然のルベウス  作者: okazato.


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3/6

シナリオ①

【第一場】

◯キヨの部屋(夜)


   暗い室内で、ゲーミングパソコンだけが色鮮やかに輝く。画面上には赤いロボットが対戦しているゲーム映像。


   松前清史(以下キヨ表記/17)、パソコンに近づけた顔が煌々と照らされている。


   キヨ、不的な笑みを浮かべる。


キヨ「これで終わりだ!」


   キヨ、キーボードを巧みに操作し勝利。ガッツポーズで大声を上げる。


   パソコン画面がランキング表に切り替わる。

   キヨ、対戦後すぐに、カチューシャを外す。前髪が顔を覆い、表情が隠れてしまう。


   一息ついたところで、オンライン通話の通知音が鳴り響く。

   相手は友人のリアム・ホワイト(以下リア表記/27)。癖のある日本語で話し始める。


リア「“kiyo”! 完璧な蹴りだったよ、いつのまにあんな技を手に入れたんだい!?」


   キヨ、対戦時とは異なり、こもった声でぼそぼそと返す。


キヨ「やあ、“White Wolf”。空手の動きを勉強してみたんだ。相手の隙をつきたくてさ」


リア「ウー。さすがジャパニーズ! 生意気な猫ちゃんが吹っ飛んだ時は、思わず叫んじまったよ!」


   キヨ、対戦相手が虎柄のロボットだったことを思い出し、苦笑する。


リア「なあ、そろそろウィナー(当選者)が発表されるな」


キヨ「そういえばそうだね。今日は……31日か」


   キヨ、スパジョイのインフォメーションページを開く。『当選者発表は5月末ごろの予定』との表記。

   時刻はまもなく、22時(日本時間で12時)を迎える。


   キヨ、パソコン画面をスクロールし、『特賞(一名) あなたのデザインしたロボットが、夢のフィギュア化!?』の箇所で手を止める。


キヨ「そういえば、TRPGの大会で優勝したんだって? おめでとう!」


リア「ワオ。サンキュー、キヨ! あっちはチームで闘えるからね。仲間のおかげさ!」


   リア、画面越しに、二の腕の筋肉を見せつける。


   キヨのN「このゲームしかプレイしていない俺が、プロゲーマーのリアムと出会えたのは、本当に運がよかったと思う」


   回想。

   パソコン画面の端に映し出された、ゲームのタイトルロゴ『スパークル・ウィズ・ジョイ』が大写しになる。


   小学生時代のキヨの回想。泣きながら帰宅する。背負ったリュックには落書きの跡。

   帰宅早々、旧式のパソコンでゲームを起動。『スパークル・ウィズ・ジョイ』のタイトルロゴ。


   馴染みのある日本語でチャットするゲーマーたちを見て、ほっとするキヨ。


   そのチャット内で、怪しい日本語を使い、会話を試みようとする人物が現れる。アカウント名は『White Wolf』。


   キヨは勇気を出して、彼にメッセージを送る。


キヨのN「あの日、俺がメッセージを送ったのは、他のプレイヤーから見向きもされないリアムが、孤独な自分と重なったからかもしれない」


   走馬灯のように、断片的な思い出の画像が流れていく。

   親しくなる二人。次第にキヨのゲームの腕が上がっていく。


キヨのN「まあ、リアムがここまで人懐っこいやつだとは思ってなかったけど」


   キヨの誕生日。リア、自室にフラッグガーランドを装飾し、パーティーハットをかぶって、シャンパンで一人乾杯している。

   回想了。


キヨのN「学校でくだらない嫌がらせをされても、いつしか気にならなくなっていた。それはきっと、リアムがいてくれたからだな」


   リアは他ゲームでの戦闘話に花を咲かせている。


リア「ん? ちょっと待てよ。運営から、個別メッセージがきたぞ!」


キヨ「え、スパジョイから? それ、当選連絡じゃない!?」


   キヨ、メッセージボックスに移動する。DMの山のなかに、運営からのメッセージも表示される。


キヨ「あ、俺にもきてるかも」


リア「アー! ダメだ、五等賞だ。まあ、せっかくだし、しばらく使ってみるかあ」


   リア、景品のコスチュームをパイロットのアバターに装着させる。海賊のような装備で、ポーズを決めるアバター。


リア「悪くないね。なあ、そっちはなにが届いてた? ……キヨ?」


   リア、画面越しに固まるキヨへ声をかける。


キヨ「なあ、リアム。俺、すごいの引き当てたかもしんない」


   キヨ、うわずった声で話しながら、画面を共有する。

   届いたメッセージには、【特賞受賞】の文字。


リア「No way!(ウッソー!?)」


   リア、その場に立ち上がったため、オンライン通話の画面から顔が消えてしまう。

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