脱出!生還!そして帰還へと、エピソード49
いきなり領主館てぇか、城へ連れて行かれての、強制謁見が終わりました。
ついでに、この度の依頼も完遂ね。
まぁ、依頼完了証明書を斡旋商へ提出する必要があるんだがな。
仲介屋への報告は不要。
あちらは、俺たちを斡旋商へ仲介した時点で、その仕事は終わりだからな。
まぁ、斡旋商から俺たちの依頼達成状況を仕入れ、今後の斡旋へ反映させるみたいだがな。
しかしなぁ、城から出るだけで、結構な時間が掛かりやがるよ。
どんだけ広いんやねん!
帰りは雇われ組だけとなっている。
ギムさんは熊さんとの話し合いだな。
他の採掘クランのメンバーは、場内の鉱石鑑定室とやらへ行くんだとさ。
ご苦労様です。
来た時は執事さんに案内して貰ったが、帰りはメイドさん2人に案内されています。
いや、メイド見習いとメイドおばさま、かな?
メイド見習いちゃんは、行状見習いとしてメイドに成り立てであり、色々と勉強中なのだとか。
平民を客として案内する機会は少ない。
特に庶民クラスの者はな。
貴族や豪商のエスコートに比べ、遥かにハードルが低いため、良い機会っとな。
まぁ、可愛いから構わんけどさ。
しかし…教育係のメイドさん…キツそうな方です、はい。
メイドなのにモノクル着けて、時々クィってモノクルを上げるんですがね、片眼鏡であるモノクルって、着ける人によっては冷たく感じるんだよね。
俺、この人には教わりたくねーぞ。
そんな2人にエスコートされて城外へと。
これが下城ってヤツね。
ん?
なんか違う?
何が?
「うわぁー、緊張したぁ!」っと、ゾックがな。
「全くだ。
いきなり城内へ連れ込まれた時は、どうなるかと思ったよ」
ソリタが懐から出したハンカチで、汗を拭きながらな。
「本当よねぇ。
しかも、お城って広いし道が複雑じゃない。
案内して貰わなかったら、出て来れなかったわ」
リタが苦笑いしながら。
そんなリタへゾックがな。
「それはリタだけだろ。
少なくとも、俺とダイルは迷わんぜ。
まぁ、そんくらい出来ねーと、仕事にならんけどさ」
っか、俺を巻き込むんじゃねぇよっ!
「まぁ、依頼は終わったんだからさ。
とっとと、依頼完了証明書を斡旋商へ提出して帰ろうぜ。
御領主様から労い金も貰ったことだし、今日はパーっと行こうや」
俺が告げると、皆んなは嬉しそうに頷いたよ。
そして斡旋商は、領主館に近い区画へ存在する。
貴族街へ近いんだが、行政機関がコチラへ偏っているから、仕事を斡旋する斡旋商にとっては、行政手続きへ行く際の距離を考えると、この区域が都合が良いみたいだな。
なので、徒歩でも、さほど掛からずに斡旋商へと。
中へ入り依頼完了受付へ、依頼完了証明書を出せば終わりっと。
ここで依頼に対する報酬を受け取る。
城で受け取ったのは、領主様からの別報酬であり、本来なら貰えないものだ。
こちらが本来の報酬ね。
っか、ショボっ!
4人で分けたらさ、ちょっとな。
領主様から受け取った労い金の一人分にもならんぞ、これ。
むろん、分ける前の額でだ。
いや、それが本来の報酬なんだが、領主様から直接受け取った報酬に比べるからなぁ。
まぁ、仕方ない。
本来、ヒヨッコあつかいの俺たちが受け取る報酬は、こんなもんだて。




