脱出!生還!そして帰還へと、エピソード47
御領主様の執務室へ、執事さんの案内にて入ったよ。
っかさぁ、すんごく広いんですが?
俺たち全員が入室しても、軽く運動ができるな、これ。
しかも執務室へは、俺たち以外にもお役人様やメイドさん達も居るんだが…
どんだけ広いんやねん?
っても、亜空間で泊まったホテルの部屋の方が広かったがなっ!
ま、あちらはさ、色々規格外だから、仕方ないか。
部屋の広さに戸惑ってるとな。
執務机にて書類仕事をしていた熊がな。
いや、熊みたいな大男?
明らかにデカい執務机が小さく見えるんだが…
その筋肉ダルマみたいな熊がさ、俺たちに気付いて立ち上がる。
襲われないよな?
「おぅ、ギムよ。
えらく早かったではないか。
予定より5日は早いが?
何かトラブルでもあったか?」
気やすげに、ギムさんへな。
したらさ、ギムさんが、とんでもないことを。
「御領主様よ。
なんとか帰ったでな。
トラブルじゃが、盛大なのがのぅ。
そこら辺を含めて、報告じゃな」
いや、御領主様?
うーん、確かに執務室で執務机に着いて執務してたよ?
だが、熊じゃ!
分かってはいるんだが…脳が拒否を。
あの熊が、伯爵様?
頭がバグるわっ!
「ふむ。
見込みと違い、鉱石が無かったか?」
「いや。
そちらは問題なしじゃ。
合金を作れる鉱石は、存在しちょったわい。
さらにじゃ。
プラティオン鉱石の鉱脈まで在りおった!
十分に見込みがある坑道じゃったぞ」
そのギムさんの言葉に、熊が首を傾げる。
「それは、重畳。
だが、それならば、何がトラブルなのだ?」
まぁ、鉱石採取と調査に赴き、結果は上々。
なのにトラブルと言われてもなぁ。
「それなのじゃがな。
坑道へ亜人共が現れよってのぅ。
そのため、安全に採掘できんように、なってしもうたのじゃ」
ギムさんが告げると、熊が忌々し気にな。
「また亜人かっ!
一体、何処から沸いてでておるのだ、まったく」
まぁ、ラスカランダ領から亜人被害のため、派兵要請されてるだろうからなぁ。
「それなのじゃが、古代遺跡から現れておるようじゃて」
そう前振りしてから、ギムさんは熊へ事態の報告を。
「ふむ。
その古代遺跡には狼人族が居り、亜人共を統べておると、そう申すのだな?」
「さようですじゃ。
このダイルが確認しとりますでな。
まず、間違え無かろうかと」
したらさ、熊が俺へな。
「そなたがダイルか。
偵察大義であった。
して、その遺跡について、詳しく教えて貰えぬか?」
そう熊からな。
「ハッ!
私で宜しければ」
そう告げて、遺跡内でのことをな。
もちろん、扉の向こう側については語らんよ。
だが、狼人族の人数など、分かる範囲で報告を。
「ふむ、完全でないにしても、よくぞ、ここ迄の情報を持ち帰ったものだ。
敵に対する情報を得るは、戦略の根幹である
天晴れ!
褒美を取らそうぞ」
そう、にこやかにな。
そっかぁ、報酬がねぇ。
以前なら小踊りせんばかりに喜んだだろうが、色々とインベントリへ取り込み、また、亜空間内の話しもある。
だからさ、そんなに嬉しくは無かったりする。
ま、貰える物は、貰うけどなっ!




