脱出!生還!そして帰還へと、エピソード45
話しは完全に纏まり、俺たちはお暇することに。
ハーシスさんは、この後で領主様との打ち合わせだな。
いやさぁ、縋るような目で俺たちを見ても知らんがなぁ。
リンがボソリと、眼福ぅ、尊い、って…
いや、聞き間違えだな、空耳だろう、うん。
でな。
御領主様が俺たちの帰還用に、馬車を出してくれることにな。
まぁ、領主様的には、一刻も早く援軍が欲しいところだろうな。
俺たちの帰還が早まれば、それだけ早く援軍が来る可能性がな。
ってもさ、そがぁに急がんでも大丈夫なんだが。
俺が糸を通して処分してっからさ。
ただなぁ。
この侭の状態で討伐が始まると、遺跡へ討伐隊が踏み込むことに。
そうなると例の台座へと行き付き、指輪の犠牲者が出ることになるだろう。
いや、嵌めなきゃ良いんだよ。
だが、嵌めるヤツは出てくるだろう。
無駄な死者は出したく無いんだがなぁ。
さて、どうするか…
『いっそのこと、遺跡の台座を取り除くかね?
今のダイルならば可能であろ?』
クロード様が、そんなことをさ。
確かに、今の俺なら魔術とインベントリを使用すれば、あの台座を取り込めるかも。
伊達に修行をしとらんからな。
以前なら魔術コーティングのせいで不可能だったが、あの程度ならば障害にならんだろう。
そうと決めたら、早速台座をインベントリへ取り込む。
っ!
意外と抵抗しやがる。
だが、全ての台座を回収できたよ。
これで指輪で死ぬ者は居なくなるだろう。
そして、あの扉を開ける者は、俺以外には居なくなった訳だ。
だから安易に奥へ進み、暗闇迷路へ迷っての遭難は無いだろうさ。
そこを越えたらシャウラスやシャウラの大群だ。
まさに死地。
行かない事をお勧めする。
次は蜘蛛であり、そして大蛇様。
うん、生きて通れるか?
その先は、全て俺が頂いてっからさ。
何も無いんだわ。
だから無駄足になるって訳。
台座が消えた状態の今、無理やり進む者が現れたらさ、自業自得でしょ。
俺は知らんよ。
とりあえずは、遺跡の始末は終えた。
亜人騒ぎが収まれば、今回の件は終わりだろう。
まぁ、この亜人騒ぎが問題なんだがな。
そして俺たちは、ラスカランダ領都からシャプリニーグ領都へ向かう馬車へ乗り、移動をな。
馬車の軽量化は行ったが、フローティングはしなかったよ。
あまり早く移動させると、異様に早くラスカランダ領都へ着いた件と、一緒だと疑われるのでな。
そうなったら、俺たち一行の誰かだと勘繰られてしまうだろう。
なので、大人しくしとりますです、はい。
ちなみに、現在はハーシスさんが疑われております。
そらなぁ、いきなり痩せてイケメンへと変貌すればさ。
それとなく探られてますね。
ご愁傷様。
で、道中は別に問題は発生せず、無事にシャプリニーグ領都へと。
まぁ、休憩で亜空間へ入ったり、修行で亜空間へ入ったり、バカンスで亜空間へ入ったり、フルコース食べに亜空間へ入ったりしたがな。
最早、亜空間なしには、生活できなくなりそうです。
ハッ!
コレが、孔明の罠ってヤツか!
『違うであろ。
まったく…』
ですよねぇ。




