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脱出!生還!そして帰還へと、エピソード44

御領主様とギムさんは、詳しい内容を濁しつつ互いに納得したようだ。


「そう言うことなれば、後から報酬を送らせて貰おう。

 それで構わぬか?」


そう言われ、頷こうとしたらな。

ギムさんが、御領主様へと。


「報酬よりもですな、一筆頂きとう御座いますわい。

 それをシャプリニーグ御領主様へ渡しますれば」


「む?

 それで良いのか?」


「構いませぬな。

 こたびの件、採掘および調査にて、あの坑道が有益と知れましたでな。

 帰り報告致せねば。


 それにて、こちらへの支援を送ることになりましょうぞ。

 なにせ、彼奴らを退治せねば、坑道が使用できませぬ。

 それでは困りますでな」


ギムさんが告げると、御領主様が身を乗り出してな。


「それは、まことか!」ってな。


なんで、あんなに興奮してんだ?


『ラスカランダ領主は、寄親であるシャプリニーグ領主へ支援を求めておる。

 だが、王都へも派兵を求めておる関係上、安易に派兵し辛くなっておるようだな。


 国軍との歩調を合わせるのが、通常の取り決めではある。

 だが、国益を損ねると判断される場合、歩調を合わせず、独自で動いても咎められぬらしい。


 ドロイドの件については、既に王へ報告しており、王命にて開発が進められておる案件なのだ。

 ゆえに、その進捗に関わるならば、最優先にて動くであろうな。

 国軍との歩調合わせなどと言う、悠長なことはすまい』


はぁー、なんて面倒な。

それって、アレ?

国軍のメンツってヤツ?


バカじゃね?


「伯爵様も寄子であられる子爵様への支援、滞っておることを気にされとりましたでな。


 今は少しでも金子が入りましょうぞい。

 なれば、伯爵様よりダイルへ報酬を支払(しはろ)うた方が、良いですでな。


 伯爵様も少しは面目が立つと言うものですじゃて」


いや、面目って…それこそ、面倒な。

別に報酬なんぞ要らんのだがなぁ。

それだと面目を潰すことになるのか?


『まぁ、そうなろうな。


 シャプリニーグ伯爵は良識派であり、汚職などを嫌う潔癖家でもある。

 ゆえに敵も多いが、王から絶大な信を寄せられておるな。


 こたびのドロイド開発に成功した暁には、侯爵への陞爵が決まっておるそうな。

 それゆえ、安易に動けぬところ、この度の話し次第では寄子のラスカランダ子爵の支援が可能となる。


 実は、寄子も助けられぬのかと、揶揄されておる。

 国軍と歩調を合わすように命じた者たちであるな。


 伯爵に対する嫌がらせと、少しでも力を削ぎたいらしい。

 実に姑息である』


うわー、だから貴族って嫌いなんだよ。

俺、ソイツら嫌い!


『うむ。

 私も好かんな。

 ゆえに、彼奴らの家宝を引き寄せ奪っておいた。

 王家より下賜された品である故、失った事が知れれば取り潰しは免れまい。

 いまだに気付いておらぬが、彼奴らが行った汚職の証拠を、王の執務室へ送っておいたでな。

 さて、どうなるやら』


いや、クロード様?

過激過ぎません?


ま、良いけどさ。

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