脱出!生還!そして帰還へと、エピソード40
あまりな無茶振りに、愕然となりながらギムさんを見てしまったよ。
「ギムさんさぁ、そりゃ無茶じゃね?
体型似てるだけで、服の用意なんてさ」
ゾックが呆れてな。
「いや、そうで無うてのぅ。
体型だけなら、ゾックお前さんもじゃろ?
ワシはダイルじゃけぇ、言うちょるんじゃよ」
「ますます、分からないだけどさ。
どう言うことなのさ?」
ゾックが首を傾げる。
「ダイルは斥候じゃて。
時には他人に成りすまし、情報を得る場合もあるのじゃ。
本来は経験を積んだ斥候が、そのような事を行うらしいのぅ。
じゃが、クラン支給のザックには、その様な時に使用する衣服が、仕込まれとるそうな。
じゃけぇ、ダイルのザックにの、ハーシス殿が身に付けても良さげな衣服が無いかとのぅ」
なんでアンタが、そのことを知ってんだよっ!
俺は、驚いてギムさんを見てしまった。
「えーっと、ダイルの様子からして、本当なんだろうけどさ。
なんでギムさんが、知ってんのさ?」
俺が聞きたいことを、ゾックがな。
「いやの。
ある依頼で同行した斥候職の者が、情報収集のために変装してのぅ。
不思議に思い問いただしたのじゃ。
まぁ、賭けの対価を肩代わりしておったでな、それを帳消しにすることにしたら、話してくれよったわい」
賭け?
あー、だらしない先輩が居るって、聞いたことあるな。
その人か?
「ふぅ。
商売上の秘密扱いなんですからね。
あまり言い触らさないで下さいよ。
しかしハーシスさんが、領主様と謁見しても可笑しく無い服って、有るかなぁ」
そう告げ、ザックを探る。
いやさ、衣服を特殊な魔道具にて圧縮し保持はしている。
だが流石に、そんな都合が良い服は持ってない。
だが、今の俺には亜空間がある。
いや、亜空間へ存在する文明が。
つまり、無ければ、作れば良いのだ作戦である。
ん?
作戦でも何でも無い?
解決すりゃぁ、それで良いんだよ!
亜空間内は、時間が超加速されている。
ゆえに、衣服を用意するなど、一瞬だ。
ハーシスさんのサイズを、精霊が確認。
それを元に、彼に合うデザインの服が。
様々な検討がなされ、素晴らしいデザインの服がさ。
いやな、明らかに亜空間時代的なのや、未来的なのも。
むろん、却下しましたよ。
そんなん着て、御領主様への謁見へ挑めるかぁっ!
で、苦労して作った服を、ザックにあったようにな。
いやさ、無駄に多くのデザインにこだわり、試作を大量に作らなければ、俺が選ぶ労力は要らなかっんだが?
俺関係の仕事ってことで、皆さん張り切ってなぁ。
エライ目にあったぜ。
裏で、そんな事があったとは、おくびにも出さず、俺は取り出した服の圧縮を解く。
「これくらいしか、良さげなのは無いですね。
どうします?」って、ハーシスさんへと。
受け取ったハーシスさんは、衣服をチェックしてな。
「いやいやいや!
元の服より上等じゃないですかぁ!
なんで、こんな服を持ってるんです!?」
そんなことを言うからさ。
「そんなことより、早く着替えてください。
いつ、御領主様と謁見になるか分からないんですから!」って、強引に話しを終わらせたよ。
それは事実な訳で…ハーシスさんは着替えを。
俺たちは、野郎の着替えを見る趣味は無い。
リタも後ろを向いてるよ。
気になるみたいだが、それはどうなんだろ?
そして着替え終わったハーシスさん?
美男子振りが、上がりましたなぁ。
なんかさぁ、妙な色香が漂ってんだが、大丈夫か?
まぁ、これならさ、御領主様との謁見も大丈夫だろう。




