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脱出!生還!そして帰還へと、エピソード34

朝となり、目が覚めた俺は身支度を。

昨夜、風呂でも使った歯ブラシてぇヤツは、実に良く出来ている。

これ、現実世界でも使いたいが…見られたら、絶対に騒ぎんなるよなぁ。

諦めるか。


『身支度する場合だけ、亜空間へ入れば良かろ?

 時の流れが違うのだから、あちらでは刹那ほども、時は経たぬのだから』


まぁ、そうなんだけどさ。

ん?

待てよ…

コレって…不味くね?


『何がだね?』


いや、あのですね。

俺って、(くだん)の領都へ向かう馬車で、寝てることになってるんですよ。

なのに、身綺麗になって、衣服も清潔に整えられてるって…


いつの間に!っうことに、なりません?


『確かに、その侭、普通に接すれば、そうなるであろうな』


ん?

普通に?

普通じゃない接し方なんてあるのか?


『何を言っておるのかね、君は。

 感知阻害系の能力を、手に入れておるであろうに』


呆れたようにさ。

いやいや、確かに阻害系の能力は、手に入れてるけどさ。

それで身綺麗になったことを、誤魔化せんでしょうよ。


『何を言っておるのかね、君は。

 昨夜、崇められて困るとか言っておったので、まさかとは思ってはおったが…

 阻害系能力を応用できることに気付いておらぬとはな』


へ?

どゆこと?


『生命探知阻害や気察知阻害は別として、マナ感知阻害と気配察知阻害は色々と応用が効くのだ。

 物質はマナにて構成されておることは、知っておろう?』


まぁ、マナを元にした原子やら分子だったけか?

それで、構成されてたかな?


『ふむ。

 良く覚えておるではないか。

 そんなマナを部分的に認識し難くすれば、汚れがどうとかを気にされることも無くなる訳だ』


いっ?


『さらに気配察知阻害にて、五感による察知を阻害できるようになっておる訳だ。

 これの応用と合わせれば、大概なことは誤魔化せように』


それって…つまり、部分的とか表層へ施せとか?

まさかね。


『そう言っておるのだが?

 まさか、出来ぬのかね?』


んなの、無理に決まってんでしょうに!

出来る訳が無いっす!


『何を言っておるのだね、君は。

 亜空間で暮らす分身体や、その子孫は、全員が身に付けておるが?

 修行をサボり過ぎでは、ないのかね?』


あ、この流れ…ヤバっ!


『これは特訓が必要であるな。

 ふむ。

 マザーも協力すると?』


へ?

マザー?

いきなり、何を?


『ん?

 念話で交信しておるだけで、あるのだがね。

 その感じでは、知らなかったようであるな。

 ふむ。

 こちらも特訓が必要か?』


い、いや、ま、待って、ちょっと、待って。

そろそろ、現実世界に戻らないとさ。


『何を言っておる。

 亜空間内は時加速しておるから、時間はタップリとある。

 慌てて、あちらへ戻る必要はあるまい』


っうことで、特訓がね。

いや、マザーさん?

感知系センサー増し増しのロボットを、特訓用に派遣しなくてもさぁ、よいんですよ?


データ蓄積してのダメだしは、心に来るからさ。

イヤなんですけど。


それにさ、俺は機械じゃ無いんだから、機械のような正確さと持続性を求められましても。


クロード様が、ドン引きしてますがなぁ。

ヤメてぇーだっ!

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