脱出!生還!そして帰還へと、エピソード33
メリーさんのエスコートの元、部屋へ帰って来たんだがな。
帰る途中がなぁ。
囲まれたり、詰め寄られたり、話し掛けられたりは無い。
無いんだが…
跪いて、俺へ祈るっうか、崇めるのは止めて貰いたいです。
いやさ、確かに亜空間は俺の能力だよ。
だが、俺が亜空間世界を創った訳ではない!
創ったのは精霊たちなんだよ。
俺は空間を提供したに過ぎないんだが?
『その精霊は全て君の契約精霊であり、君の能力とされるのだが?』
いや、だからってさ、俺が命じた訳じゃないし。
精霊たちの意思へ任せたら、このような世界ができた訳で…
それってさ、精霊たちが独自に創ったてことだよな?
な?
やっぱり、俺が創った訳じゃ無いじゃないか。
『ふぅ。
強情だな、君は』
そ、そかな?
『何を照れておる?
褒めてはおらぬが?』
え?
そなの?
っかしいなぁ。
『まぁ、良い。
そんなことよりもだ。
どうだね、都市に来て。
元の世界を捨て、亜空間へ移住する気にはなったかね?』
クロード様が、そんな事をな。
クロード様的には、高速で時間が過ぎ去る亜空間と、普通に時が流れる現実世界にて、共に生活するのは面倒なのだろう。
だが、俺には関係ないことだ。
「亜空間へ移住する気はないですね。
俺が暮らすのは、あちらの世界です。
亜空間は、有り得ませんから」ったらな。
『それは、何故だね?』って、不思議そうにな。
「文化が違い過ぎて落ち着きませんね。
育ちが違い過ぎるって言うか…
こちらの環境では、落ち着かないんですよ。
たまに遊びに来る程度なら妥協はできます。
ですが、永住は無理ですね」
俺は貧乏性な庶民なんだよ。
セレブだったか?
あんなん無理だわ。
『そんなものかね?』
クロード様が、不思議そうにな。
イヤイヤ、クロード様の時代ってさ、俺たちの世界より文明進んでたじゃないですか。
さらにクロード様って、公爵家の跡取りだったんですよね。
そんな優れた文明で、高い身分だったクロード様と違い、俺は庶民ですから!
しかも、文明度が低い世界のですよ。
絶対に馴染まないっすから!
そこまで告げて、ようやく納得してくれたよ。
しかしなぁ、ビックリ飯だったからか、目が冴えてしまったな。
ちと、運動したいのだが…どうしよう?
『すれば良いではないか』
いや、それを何処で、って、話しなんですがね。
『この部屋へは、ジムも備わっておる。
空間を広げ、プールも備え付けられておるな。
ゆえに、そこへ行けば良かろう』
へぇ。
この部屋って、そんな施設もあったんだなぁ。
そう思いながら、帰って来て座っていたソファーから立つ。
さて、そのジムとやらは、何処かいな。
そう思い歩いていると…
『どうやら、ここのようだぞ』って、クロード様がね。
ガラス戸があり、中が伺える。
入ってみると、様々なマシーンがな。
転生さんの記憶にあるトレーニング・マシーンもあるが、そうで無いマシーンもな。
おそらくは、亜空間内にて考え出されたのだろう。
マシーン毎にトレーナーとして、ロボットが配備されており、使用方法の説明や、使用補助を行うみたいだ。
いくつか使用してみたが、結構キツいな、これ。
なんかさぁ、ロボが俺のギリギリを探るように負荷をな。
俺が普段使わない筋肉が、ダイレクトアタック喰らってんよ。
一通りマシーンを体験した後はプールへと。
ひと泳ぎした後、風呂へ。
こちらでも、風呂を一通り巡ってから上がったよ。
出たらビール!
しかも、ラガー!
稲穂が立つ、てぇヤツを、グビッ、グビビッ、ゴクゥ、プッファ!ってな。
最高かよ!
で、ベッド入ったら、朝までグッスリでした。
半覚醒を覚えてから、初めてのことだ。
自分の領域てぇことで、気が緩んだかねぇ。
反省しねぇとなっ!




