脱出!生還!そして帰還へと、エピソード32
ブランデーのさ、余りの美味さに夢中となってしまったが…
スイーツも負けてない。
様々なフルーツを使用したケーキ。
タルトやスポンジにチーズケーキなどなどに、様々なフルーツが乗る。
そんなベタなスイーツもだが…
「チャレンジャーだなぁー」っと、思わず声が。
これってさぁ、クリスタル・シートだよな?
シロップ?いや、ハチミツか?
あ、ハニービーかっ!
それと…ブドウ?
ああ、あのワインにするカメ植物ブドウ?あれかな?
揚げた後に、それへ漬け込み、さらにオーブンで焼いたな!
むろん、薄いクリスタル・シートである。
一枚では薄過ぎる。
なので十数枚のクリスタル・シートを重ねてある。
そして重なった間へも蜜や果汁が染み込み、オーブンで焼いた時にシートを接着する。
さらにカラメリゼ状態となりコーティングをも!
そんな代物だから、当然のことながら甘い、甘いんだが…ハチミツもブドウ果汁も、シツコイ甘さでは無い。
そんな甘さが染み込んだ、クリスタル・シートである。
カリカリ、コリコリ、サクサク、ザクザク…
歯応えががががっ!
軽く塩気も。
それが、爽やかな甘味を引き立て、食感がっ!
なにすんねんなっ!
美味過ぎるわっ!
食べ疲れた俺は、思わずゼリーへと。
ん?
これ…ゼリーじゃ無えっ!
んだぁ?
モチモチ、フルフル、クニュクニュ…
口の中に吸い付きつつ…
噛むと弾力にて抵抗しつつ、一定の力で噛んだ圧力に屈するとな。
プッって、プッってな。
したら、プチプチって…
淡い甘味が、口内へ広がってたところへ、噛み千切れた瞬間に、プシュっと。
甘味爆弾やぁっ!
嫌な甘さではない。
サラリと広がる甘美たる甘さ。
それが、いきなりぃ、口内へと溢れる!
うわぁー
美味いよー
思わず、ブランデーを煽る。
さらに美味さが、ドン!
堪らん!
このレストランはぁ、俺を悶え殺す気かぁっ!
そして…気付いたらデザートが消えてました。
え?
俺のスイーツは、どこさ行っただ?
ふん、分かってますよ。
俺が、食べたんですよっと。
しかし…まさか全て食べれるとはな。
思ってもいなかったよ。
で、今は大人しく、食後のコーヒーを飲んでます。
アイリッシュコーヒーだがなっ!
っても、砂糖も生クリームも無いヤツだ。
レストラン・オリジナルのブレンドコーヒーを、ブラックにて。
そこへスコッチウイスキーのシングル・カスク・ストレングスを入れる。
まぁ、ホット・カクテルだな。
夜景を眺めながら、食事の余韻に浸る。
しかし…濃い体験だったなぁ。
こんなに美味い食事は初めてだ。
っか、コース料理てぇのか?
貴族でもない庶民が、食べることなど無いだろいからな。
いや、王侯貴族でさえ、食べれないだろう。
そう言えば、ここの代金は、どうしよう?
インベントリから、何か出すか?
『街でも告げたが、ダイルは払う必要はない。
マザーが全て把握しており、あちらで清算しておるからな。
大体だ。
この亜空間は、ダイル、君の能力であり、資産なのだよ。
自分の持ち物へ、対価を支払う必要はあるまい?』
そんなもんかねぇ。
っと、メリーさんが迎えに来たな。
さてっと、部屋へ戻るかね。




