鉱洞での採掘依頼、エピソード8
洞窟ホールに空いた4箇所の穴。
それぞれから通路が伸びているんだが…
うん、壁文の人さぁ、アータ何しとんの?
入り口となる穴横の壁へさ、○×が書かれとるんですが…
これさぁ、正しい道と間違いの道を示してるんだろーなぁ。
まぁ、分からんこともない。
本人曰く、方向音痴らしいからな。
印を付けないと迷うんだろう。
で、俺は×印が書かれてる右側の穴へと。
ん?
○印が書かれてる穴へ進まないのか?ってか?
いやな、確かに正面左側の穴は行き止まりじゃ無いんだろうさ。
だがな。
他の道に有用な物が無いとは限らない。
もしかしたら、脱出に有用なアイテムを得られるやもしれんしな。
そのような物は壁文の人が回収しているかもしれんが…
考えてみてくれ。
指輪を取った後、何がおこったかをな。
そう、取った指輪が精製?され現れただろ?
つまり、キーアイテムを回収しても補充される訳だ。
ん?
そんなこと、壁文の人は書いて無かったって?
そら書き忘れることもあるだろうしな。
なんせ、迷いまくった後に疲れた状態で書いてたみたいだし。
てな訳で、全ての道を確認する予定だ。
素人の壁文の人と違い、俺は斥候職の身。
このような探索は、お手のモノだ。
素早く辺りを確認しつつ、スルスルと進む。
足場は良くないが、俺には障害にもならん。
苔が生えてたりするため、素人ならば足を取られるだろうよ。
しかし、この苔。
美味くはないが食べれる種類だ。
後で回収しておくかな。
一応10日分の食料は持っている。
これは万が一を考えて、個人的に用意した物だ。
保存食だから、腹持ちと栄養、カロリーを重視した物だな。
正直、美味くないぞ。
むしろ不味い。
だが、この非常事態を鑑みるに、用意して良かったと言えるだろう。
クランの上司指示に従っていて良かったよ。
途中の脇道は反響音から判断するに、途中から狭くなったり小さくなっている。
中には他に繋がっていそうな横道もあったが、とりあえずは今の道を進む。
途中に二股にて道が別れたが、ここは右だな。
そして最奥へと辿り着くと生き物の気配が。
物陰から密かに伺うと、小穴から外の光がな。
ネズミなどの小動物は通れるだろうが、子猫でも通り抜けれそうに無い穴だ。
うん、脱出は無理だな。
洞窟奥には腐葉土が積もり、植物が生えていた。
キノコもだな。
アレは食えるキノコだな。
結構珍しいキノコで、美味いって話しだったか…
先輩が採取して来たことがあるが、納品物なので食べた事はない。
結構な値がしたハズだ。
他にもキノコがあるみたいだが、ここからでは詳しく分からんな。
んでな。
そんなキノコや植物を、森ネズミが食ってんよ。
勿体ない。
良し、代わりに俺が食ってやろう。
ついでにお前らもな。
俺は物陰から投擲ナイフを3本ほど、素早く投げる。
うむ、居たネズミは全て狩れたな。
森ネズミは警戒心が強く、索敵能力も高い。
ヤツらが落ち着いて食ってたことから、危険な生き物は居ないハズだ。
だからといって、油断して移動するのはバカがすることだ。
俺は辺りを伺いながら慎重に移動をな。
うむ、問題ないみたいだ。
森ネズミを回収しつつ、辺りを見渡す。
壁から染み出した水が溜まった水溜りがあるな。
飲み水になるかは分からんが、解体する場所としては使えるだろう。
狩った森ネズミを解体するには、ちょうど良いだろう。