脱出!生還!そして帰還へと、エピソード29
ビックリ茶漬けを頂いた後は、フロマージュとなる訳だが…
フロマージュとは、なんぞや?
えーっと、転生さんの曖昧な記憶から再現された物?
コース料理のメインとデザートね間に出されるらしい。
様々なチーズを楽しむ物らしいな。
どうやらチーズは二日酔いに対し、効果的な効能があるらしく。
酒を飲んだ後に食すと良いってことから、このフロマージュてぇのが、始まったらしい。
ただ、必ずフロマージュがある訳ではなく、無い場合もあるし、デザートと代わりに出される場合も。
また、別料金にて頼むことが可能な店もあったらしい。
知識だけなんだなぁ。
へ?
一般庶民が、そんな高い店へ気楽に行けるか!ボケェっ!っと。
口悪いな、をい!
あー、転生さんは、日本とやらに生きていた頃は、小さな下請け出版社の、記者だったらしい。
雑多な内容を、様々な場所へ取材しに行ってたんだと。
専門家へ取材することもあり、意外と知識は豊富らしい。
趣味は、B級グルメの食べ歩きであり、取材で訪れる場所で、ご当地グルメは必ず食べてたってさ。
そんな知識が亜空間へ反映されとんやなぁ。
ん?
ちょと、待て!
転生さん、彼女の記憶を再現は良い。
良いが…再現するためには、物が必要だ。
それは、どこなら得てんだ?
この亜空間は、遺跡のトレントの森がベースであり、亜人どもが居座る森の物を取り込んだだけのハズ。
とてもでは無いが、転生さんの記憶にある物を、再現できるハズがない。
どうなってんだ?
『ふむ。
それは、精霊様方のお力であろうな』
へ?
どゆこと?
『我らが住まう世界も、元はマナから細胞を創り出し、精霊様が変化させ、動植物を創り出したとされておる。
いや、大地から空、つまり大気だな、それをも精霊様が創られたとされる。
つまり情報さえ確かならば、精霊様により生物を産み出すことは可能なのだよ』
いや、初耳なんですが?
それってさぁ、神々の所業じゃねぇの?
『はて?
我が国にも神を信奉しておる者はおったが…
神とはなんぞや?
精霊と違い確認されておらんのだが?
本当に居るのかね?』
い、いや…
本当に居るかって聞かれもですねぇ…
まぁ、なんだぁ。
この亜空間では、精霊達が動植物を生み出せると。
凄いなぁー
『それで、神…』
あ!
配膳が始まったぞ!
フロマージュって、どんなのかなぁー!
『………』
配膳されたのは、様々なチーズ…料理も?
チーズをカットした物もある。
だが、シャーベットみたいなヤツや溶けたヤツ。
冷たいのと暖かいのに、熱いヤツ。
温度管理は魔術と精霊にて。
だから安易に冷めたり、溶けたりはしない。
青いのや、白いのが混ざったヤツって、なに?
え?
カビ?
はぁ?
食って大丈夫なのか、それ?
え?、結構、美味い?
そうなの?
では、試しに…
ちと、ピリッとするが、これは、これで。
合わせるドリンクは、ワインですか、そうですか。
甘いな!をいっ!
デザートワイン?
なんぞ、それ?
一般には、アイスヴァインや貴腐ワインなどが有名?
そなの?
亜空間では、デザートワインも?
ん?
今飲んでるやんね?
そのデザートでは無い?
砂漠のデザート?
紛らわしいわっ!
砂漠でないデザートワインだが、ブドウへ負荷を掛けることにより、ブドウの糖度を上げて造るワインらしい。
アイスヴァインは、冬季までブドウを摘まず凍らせることでブドウへ負荷を掛け、ブドウの糖度を上げた後にワインを作るらしい。
貴腐ワインはブドウへカビを付け、ブドウへ負荷を掛けてんだな。
デザートワイン、つまり砂漠ワインか…
こちらは亜空間で造られているワインらしい。
砂漠の過酷な環境下で育てたブドウの糖度が高く、良いデザートワインになると。
なるほど。
砂漠ワインは亜空間特有としてだ。
アイスヴァインと貴腐ワイン。
コチラの生産者には頭が下がる。
下手したらブドウが枯れかねんからなっ!
大変な技術的と苦労が必要だろう。
凄いなぁ。
え?
亜空間では精霊様が管理しているから、気楽に造れる?
……… ……… ………
謝れ!、全生産様方に謝れ!
なんっーことしとんですか、コヤツらはっ!
本当に、すんませんです!




