脱出!生還!そして帰還へと、エピソード28
肉が消えた皿を、悲しげに見る俺。
そんな俺へとな、シェフがな問う。
「お代わりは、如何でしょう?」ってな!
むろん、頂きましたよ、なにか?
「お楽しみ頂けたようですな。
幸いにて。
私は、これにて下がらせて頂きます。
料理は、〆、フロマージュ、デザートと続きますので、残りも楽しんで頂ければ幸いで御座います。
特にフロマージュとデザートを担当するパテシエは、当ホテルが自信を持ち、お勧めできる者でして。
ご満足いただけたますかと。
では、これで」
そう告げ、頭を下げてから退出を。
っか、そっかぁー
まだ続くんだなぁ。
しかし…腹八分にも満たないのは、なんでだ?
『亜空間産の酒が原因であろうな。
マナ含有量が高く吸収力が高い酒であるが、食べた物の消化吸収を促進する働きもある。
そのため、食べた物がマナ化して吸収されたのであろう』
そりぁ、食い過ぎで苦しいてなことに、ならないのは良いが…太りそうだな。
困るんだが?
『そうはなるまい。
ダイルならば、だが』
どゆ意味?
『ドラゴニアンの能力だな。
エネルギーを圧縮蓄積する器官があり、そこへ過分なエネルギーは蓄積される。
非常用エネルギーとし、食事が摂れない場合は代替えエネルギーにもなるのだが…ドラゴンブレスを行使する際のエネルギーでもあるな』
へ?
俺、ヒューマンっすが?
『いい加減に諦めたまえ。
改造ヒューマン…いや、既にヒューマンの枠に収まってはおるまいに』
そんな話をしていると、〆と言われる物が運び込まれたな。
そして、配膳されたのだが…
えーっとぉ…これって?
転生さんの記憶では、寿司?
それも軍艦寿司、ミニ軍艦か?
海苔とか、おぼろ昆布、てぇので巻かれた上へ、様々な具材が飾られるようにな。
海苔や昆布と具に隠れ見えないが、多分酢飯っうのが巻かれてるハズだ。
具は、ツナマヨ、イクラ醤油漬け、カニほぐし身マヨ、何かのジェルetc
生が避けてあるみたいだな。
まぁ、転生さんの記憶では、寿司に生の魚は付きものらしいが…生で食べるって、マジか?
いやさ、クリスタルシートが生で出されたけどな。
あれって、極小だからなっ!
さらに重ねてあったから、俺じゃ無かったら気付きもしないだろう。
街中の寿司屋では、普通に生魚を扱っているらしい。
うーん。
帰る前に、チャレンジしてみるか?
さて、軍艦さんだがな。
生魚に慣れてない俺へ、配慮した具材になっているみたいだ。
まぁ、締めだからなぁ、それほどの…
いや、シェフ?
イタズラ好きなの?
このジェルさあ… ラムラゾールのジェルじゃねぇかぁっ!
なに、シレッと混ぜとんねん!
つか、海苔や昆布に重ねて、クリスタルシートを仕込んだヤツも。
えーっっぉ… ラムラゾールジェルかと思ったらさ、件のスープジェルクラッシュでした。
余りの美味さに、飛び上がりそうになったよ。
そんなビックリ軍艦へと、合わせる酒としては…日本酒。
しかも純米酒だな。
米の旨みと芳醇な香りが薫る逸品である。
吟醸や大吟醸だと上品過ぎ、料理に合わないとの判断だろうか?
この酒と寿司が、合う、合う。
たまらぁーん!ってヤツさね。
そんなビックリ軍艦を食べた後、寿司茶漬けでご飯物は終わり、っと。
酢飯は、普通だね。
具材は、葉わさびと肉の佃煮を解した物へ、何かを砕いて振り掛けてある。
これへ出汁を掛けて頂く訳で…
いや、そのね。
なんで、出汁が、あの、超佛跳牆なの?
この佃煮の肉さぁ、ハニーベアの手の肉だよね?
さらに干したクリスタルシートを炙り、砕いて振り掛けるって…
今日の集大成?
さいですか…
大変、美味かった、です!




