脱出!生還!そして帰還へと、エピソード26
衝撃的なスープ体験を経た後は、サラダだそうだ。
いや、スープ体験って…色々おかしくね?
そして配膳されたサラダは、ごく普通のフレッシュサラダだった。
色々と衝撃的な料理をさ、立て続けに食べた後だから、少しホッとしたよ。
まぁ、ミニトマトらしき物を口に入れ噛んだら、実が全て果汁のようになっててな、口ん中で弾けてビックリした以外はなっ!
ドレッシングが秀逸でな。
思わずサラダを平らげた。
やはりシェフの腕が良い!
そして皿が下げられ、お次は魚料理かぁ。
サラダが箸休めだとすると、次は秀逸料理か?
まぁ、あまりハードルを上げるのも良く無いかな。
そして、配膳されたのはパスタ?
あれぇ?
虹鱒で、別名トラウトサーモンと呼ばれる内陸産の大型マスの燻製が、薄切りにて飾るように添えられている。
それなりの枚数あるから、これを魚料理としているのだろうか?
それとも、虹鱒の魚卵が散りばめられてるから?
今までのインパクトが強過ぎて、過度な期待をしてしまったようだな。
うん。
そう考えてパスタをソースに絡め、燻製切り身と共に口へと。
うん、固まってしまったよ。
してやられた!
ソース。
これさぁ、虹鱒の骨などを煮出した出汁がベースになっている。
それへ、すり潰した、虹鱒の身と魚卵を加えてから、味を整えた物だな。
そして、パスタだ。
いや、パスタ?
これ、虹鱒の擂り身を練り合わせ、麺状にしてから茹で上げた魚麺だな。
口の中がトラウトサーモン一色です!
こちらに合わすのは、純米酒となる。
米の旨みに、香りが仄かに香るんだ。
これが、魚料理にさ、格別に合う!
口の中でマリアージュしつつな、口内をサラリと流す。
軽くリセットされるので、再び魚麺パスタを口へとな。
もうね、ただ、ただ、それだけを繰り返すマシーンのように。
気付いたら、皿は空になっていた。
いや、俺のパスタは?
俺ってさ、亜空間に来て初めてパスタ食べたんだわ。
正直、美味いもんだなぁーって。
だが…そんな俺の持つパスタのイメージは、今、崩壊した!
パスタってさ、無限の可能性を秘めた料理だったんだ!
それを、今、確信したよ。
口の中が虹鱒味に蹂躙され侵略された今、コレを超えるパスタをイメージできない。
だが…虹鱒で行ったことが、他の食材ど出来ないのか?
もし出来るのであれば、パスタ革命である!
私は、そう、断言しよう!
そんなアホなことを考えている間に、皿が下げられソルベがな。
シューベットと違い果汁だけで作られた物であり、シャリシャリした食感とサッパリした味わいが特長らしい。
口直しだな、うん。
それで、使われた果実なんだが…そう来たかぁ
これ、トレントの実だわ。
あの果実って、果実だけで完結する感じで満足していた。
だが…このソルベ!
これを食べて、それが誤りだと気付いたよ。
果実を凍らせ砕いただけ。
荒い箇所と、細かく砕いたかしょ、摺り下ろした箇所。
それを混ぜ合わせ、器に盛り付けてある。
一手間掛けただけで、こんな至上と言える味になるとは!
想像もしていなかったぜっ!




