表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/200

脱出!生還!そして帰還へと、エピソード22

元々腹が減っていたのに食前酒のせいで、猛烈な飢えが!

いや、最早、飢餓か?


そんな俺の前へ配膳されたのは…一口大のゼリー寄せと、何かのチップス。

え?

前菜前のアミューズグール?

なにそれ?


え?

料理提供前のお持て成しみたいな物?

突き出しみたいな物かぁ…


違う?

これから、お出しする料理の期待を盛り上げて頂くため、シェフが力量を示す試金石らしい。

つまりは、渾身の逸品であり、突き出しとは異なるらしい。


突き出しとは違い、料金は取らない。

このアミューズグールを食べて、キャンセルして帰る客も居るそうな。

だから腕に自信が無いシェフは、アミューズグールを行わないらしい。


アミューズグールと合わせて出されたのは、日本酒。

大吟醸らしく、さらりと甘い喉越しだ。


これ、この亜空間にて開発された酒で、俺の国はおろか世界にも無いだろう。

あの転生さんの記憶を元に作り出したてぇから、恐れ入る。


しかしなぁ、食事を始めると、分身の擬似人格さん達の意識が、こちらメインになるんだが。

元々が譲渡された記憶を元に創り出した擬似人格だからな。

根底は、俺の魂に存在しており繋がってはいる。


ただ、分身体へと宿った場合、意識の大半は分身の方へな。

それが、亜空間で俺が食事をする度に、意識をコチラへ裂いてくるんだよ。

まったく。


それは、そうとしてだ。

このアミューズグールなんだが…先ほどのラムラゾールの血か?

野菜と香草および、ラムラゾールの骨とか身を煮出したスープへ、それを合してからゼラチン質で固めた感じか?

そのクラッシュジェルがスプーンにな。


いや、少なくね?


でな、口に含むと…サラリと溶ける。

へっ?

淡い味わいなのだが、シッカリと味は残る。

爽やかな軽い典雅な味わいてか?

その奥に、ラムラゾールの確かな味わいが…


これに大吟醸が、合う!

うめぇっ!


でも…スプーン一杯分なのよね、これ。

グッスン。


で、ヤサグレてチップスを。

!!!

んだぁ、これぇ!


カリ、ザク、サク、サクコリサクコリサク、コリコリコリっ。

歯応えと香ばしさが、堪らん!

しかも、この味わいときたら!


これ、芋のチップスでは無い?

いや、芋のスライスと合わせてあるのか?


2枚しか無いチップスの内、1枚は勢いに合わせて腹の中。

これは、心して食さねば!


そして挑む2枚目。

コレは薄切りの芋へ、繋ぎとして何かを…

うん、魚の擂り身か?


それと、魚の軟骨?

細い軟骨を合わせ、シート状にした物かなぁ?


なるほど、超薄切りの芋へ魚の擂り身を塗り、軟骨シートを貼り合わせ、高温の油で揚げた。

そう思える。


これが、あの歯応えの正体かっ!

しかも、噛めば噛むほどに、魚の擂り身と軟骨から、えも言えぬ味わいが!

しかも、芋が吸った油の甘味も、それをアシストしている。


で、一見、くどくなりそうな口内を、大吟醸がサラリとな。

流すのでは無い!

味わいを増すのだっ!


で、これが少量?

さらに腹が減る!


飢え殺す気かぁっ!


しかし、この軟骨シートさぁ。

作るの手間じゃね?

手が掛かってんなぁ。


そう思っているとな。


『いや、これは魚の一部だ』って、クロード様がね。

どゆこと?


『ここ亜空間で産まれた固有種でな。

 どのように進化したかは、精霊たちが知ってはいる。

 だが、なぜ、そのように進化したか謎である生物でな。


 クリスタル・シート。


 そう呼ばれておる魚だ。

 体は鉛筆ほどの太さで、育てば2メートルほどの長さになるだろう。


 身体も透明だが、左右に透明で大きなヒレを持っておってな。

 その薄く透明なヒレを軟骨で操り、海を泳いでおる。


 植物プランクトンを主食にしておるが、身に葉緑素のような物を宿しておってな。

 それにて光合成も行える、不思議な生き物だ。


 繁殖力が強く増え易いのだが、他の生き物に捕食され易いため増えぬな。

 ここで提供しておるクリスタル・シートは、完全養殖の物であろう。

 なかなか、お目に掛かれぬ品と聞いとおるよ』


そんな不思議生物が居るとは、仰天だぜっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ