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脱出!生還!そして帰還へと、エピソード21

飲んだ炭酸水へは、淡い甘味と爽やかな風味がな。

食欲増進交換のある薬草も、混ぜられていたらしい。


食前には最適かと、だとさ。


確かに、腹は食事を欲してるな。

そんな訳で、メリーさんのエスコートにて階下のレストランへと。


最上階は俺専用とし、創業時からメンテナンス・スタッフ以外の立ち入りは禁じられているそうな。

それでも、都市内では最も高い場所にあるレストランであるこの店は、非常に人気が高いらしい。

っとぉ…俺の専用フロア階下ってぇのも、人気の一つ?

それに対しては、意味が分からんのだが?


まぁ、そのためレストランは人気が凄く、常に満員御礼状態なのだとか。

結構、待っているなぁ。

こりゃぁ、入るのに時間が掛かりそうだ。

しまったな。


これなら部屋で食べた方が良かったか?なんて思っていると、メリーさんは入り口とは違う方へと。

あれ?

入るんじゃ()ぇのか?


不思議に思ってると、やたらと豪勢な扉の前へな。


「こちら、ダイル様専用個室となっております。

 お部屋からの夜景にも負けぬ景観を、ご覧頂けるかと」


そう告げられ、部屋の中へと。

テーブルと椅子に調度品が、あつらえられている。

照明は抑えた感じでな、シックで落ち着いた雰囲気だ。


部屋へ入った俺は、席に着くんだが…前の壁面がガラスになっててな、外の景色が一望できるんだよ。

そして、そとの夜景を見ながらの食事となる訳だな、うん。


転生女性の記憶にて、夜景と言う概念はあった。

あったのだが…


「これは、また…素晴らしいね…

 光の洪水?

 なんなんだろな、キラキラと輝き…圧倒される…

 これが、夜景なのか?」


譲渡記憶にて知ってはいた。

例の転生さんが見た夜景でな。


しかし…転生さんの記憶にある、夜景の比では無いな。

あちらが、はるかにショボく思えてしまう。


人口が少ないとは言え、それは、この亜空間全体に対してだ。

この都市に住まう者としては、十分な人数となっているのだろう。


いや、人やアンドロイドだけでは無く、ロボット達も稼働しているからか?

まぁ、この無数の光の下で、様々な活動がなされているのは、間違いないだろうがな。


この景色だけでも、十分なご馳走と言いたいところだが…流石に腹へったわ!


そんなん思ってるとな。

「食前酒でございます」って、ウエイトレスさんがね。


配膳されたのは、小さなワイングラス?

液体を注ぐカップ部分が細長いかな?

一口で、全て飲み干せる量しか入らないだろう。


そんなグラスに、薄い緑色の液体が注がれていた。

香りは、悪くない。

匂いからは、毒物の混入は認められないな。

飲んでも危険はあるまい。


強いアルコール臭へ、複数の薬草に香辛料、それに…血か?

まぁ、飲んでみるか。

一気に喉へと流し込む。


強いアルコールが胃を!

胃がカッと火照る感じだ!


イッキに胃が活性化してきて、食欲が増す。

増す、っうか、飢えた?

腹減ったぁー


しかし、先ほどの食前酒だがな。

百数種類の薬草と数十種類の香辛料を独自にブレンドし、アルコールへ数年から数十年漬けたリキュールらしい。

それへ、ラムラゾールと言うカメの血を、臭みを取った後で加えてあるのだとか。

このカメさんの血は滋養強壮に優れており、さらに食欲増進効果もあるそうな。


だが、リキュールと血なんだが、どちらも共に、お高いそうな。

庶民が口にする事はないんだと。

いや、俺さぁ、庶民ですが?

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