鉱洞での採掘依頼、エピソード7
古代語の説明文に従い、俺は扉へ近付き窪みを探す。
っか、うん。
扉中央に、それらしき窪みがあるやんね。
多分、これだろ?
そう思った俺は、窪みに指輪を押し付ける。
したらさ、扉が…上へ上がってくんですが?
はぁ?
開くって、そんな感じなのか?
で、な。
ゴゴゴゴゴッって、派手な音を立ててな。
うん、響き渡るって感じやね。
むろん、そんな音が響けばさ、辺りが騒然と。
バッキャロー!
気付いた亜人どもが雪崩込んで来る前に、慌てて扉を潜る。
扉を潜り終えると、その瞬間に背後からドゴンッ!てぇ轟音が!
慌てて振り返ると、扉が閉まってたよ。
こらもう引き返せんな。
っか、扉が淡く発光してっから、扉周辺は見える。
だが、それ以外は真っ暗でな、何も見えんのだが…
どないせいと?
俺は、ため息を吐きつつ指輪を見る。
なんとなくだったんだが…指輪の灰色石がさぁ黄色く点滅してますが、んだぁ、これ?
辺りは真っ暗で身動きできない、だから出来ることも限られる訳でな。
とりあえず指輪の石を触ってみたよ。
したらな、なんかさぁ、俺の体が発光したような…
大丈夫なんだろーな、これ?
そんなん思いながら体を確認。
うん、異常は無いようだな。
そう思って、顔を上げると…
異常自体です。
真っ暗で伺え無かった周囲の状態がな、昼間のように分かるとです。
どがぁなっちょるんでしょうか?
で、な。
辺りは洞窟っうか、通路だな。
ここはホールのようになっていて、正面に2つ。
左右それぞれに1つづつの穴がな。
その穴から奥へと通路が続いている。
どうやら暗視能力が身に付いたみたいだな。
指輪の効力だろうか?
見えるようになったから、辺りを見回してみた。
また壁文が。
ここにも書いたのか。
読んでみるかっと、壁文へ近付こうとした時、外が騒がしくなった。
亜人どもが雪崩れ込んで来たのか?
いや、待て!
この分厚い扉の向こう側での音が聞こえてる?
聞こうとしたら息遣いまでわかるんだが?
しかも音を取捨選択できるみたいだ。
聴力も強化されたのか?
外では扉を開けようと暴れてんなぁ。
まぁ、普通には開かんだろう、これ。
ましてや、せり上がるなんざぁ、思い付けるもんじゃ無ぇだろうかんな。
俺も想定外だったし。
とりあえず、ヤツらが雪崩れ込んで来ることはあるまい。
壁文を確認するかね。
《ようやく、ここへ帰って来れたよ。
私が方向音痴であることもだが、迷路なのが頂けない。
ただ、石を放ると発する音。
この反響音で、行き止まりかどうかが分かるのに気付いたよ。
そのお陰で、ここへ帰って来られた訳だ。
この指輪、どうやら五感を強化していると思われる。
匂いで、自分が通った場所かを確認できたからな。
味覚も操作出来るから、味を変えることも可能だ。
お陰で保存食が苦痛なしに食べれる。
コレは思わぬ収穫だったよ。
さて、私は先に進もう。
この文を誰かが読んで役立てることを祈ろう》
てなことが書かれてたよ。
いやなぁ、マジ感謝だな。
そうかぁ、五感強化なんだな。
まぁ、憶測レベルみたいだが、何もないよりは遥かに良いからな。
さて、情報も入ったし、行きますかね。