脱出!生還!そして帰還へと、エピソード18
都市へ到着して少し周ったが、見る所が多過ぎる。
アッと言う間に時間がな。
一応、太陽の軌道で朝昼晩夜を制御しており、今は夕方だな。
どう言う軌道なら、こんな夕陽になるんだろ?
あ、クロード様、ご説明は要りませんので。
っぶねぇ!
また講義へ突入になるとこだったぜっ!
さて、夕方になったことだし、亜空間から帰るかな。
そんなことを思ってるとな。
俺の前にフローティング・カーがな。
うん、凄く、高級な車ですね。
リムジンってやつかな?
誰かを迎えに来たんだろうか?
したらな、リムジンから老紳士風のアンドロイドがさ。
うーん、渋い。
ジッ・執事てぇ感じの男性だな。
こちらへ来るが、はて?
思わず辺りを見回すが、誰も居ないな。
で、その執事様がな、俺の前に来て告げるんですが?
「ダイル様、お迎えに参りました」ってさ。
いや、アンタ、誰よ?
初めて会ったよな?
なのに、俺の出迎え?
詐欺か?
「なんで、俺のこと知ってんだ?
っか、お前、誰よ?」
警戒して告げるとな。
「私共の住まう、この世界の創造主にあらされ、所有者たるお方。
この地に住まう者は、全てが存じ上げておりまする。
創造神ダイル様」
そんな、ふざけた事をな。
「はぁ?
誰が神よ?
誰がっ!」
「ダイル様でございます」
「マジで言ってる?」
「天地神明、精霊の方々に誓いまして」
ふぅ、本気みたいだな。
どうして、そうなったし?
「いやいや、俺は神なんかじゃ無いからな。
単なるヒューマンだぞ」ったらな。
「いえいえ。
我らにとりましては、神に御座います。
この亜空間を創られたのは、ダイル様。
この亜空間の所有者なのも、ダイル様。
いわば、世界を統べる方に、ございます。
ですので、この地に住まう者にとり、ダイル様は神。
大半の者は、ダイル様の信者に、ございまする」
シレッとした顔で告げて来たよ。
淡々とな。
表情一つ変えないんでやんの。
あ、アンドロイドだからか?
「そのなぁ。
その神呼ばわりって、辞退できたりは?」
「出来ませぬ。
数千年以上続く、由緒ある宗教にて。
毎週末には、皆、教会へ集まりましてな。
ダイル様の像へ感謝の祈りを捧げております。
しかし…ギムレット様作のダイル様像に瓜二つですなぁ。
一目でダイル様と分かりましたぞ」
はい?
ギムレットさぁぁん!
アータ、何しとんのっ!
『そう言えば、ギムレットがダイルの像を作っておったな。
良い金になると、ホクホクしておったが…
こう言うことだったか』
「クロード様はダイル教ってぇの、知ってたんで?」
『いや、私も普段は亜空間に居ないのでな。
たまに入っても、大体がラボへ籠って研究しておる。
気晴らしに観光する程度だったのでなぁ』
呆れたようにな。
「さて大分、暗くなりました。
マザーの指示にて、ダイル様を宿泊所へ案内致しまする。
どうぞ、おみ足を進められ、車内へ」
そう誘う訳で…
っか、マザーって誰よ?
「アンタに指示したマザーって、誰よ?
それに、アンタの名は?」
そう尋ねるとな。
「おおっ!
1使用人にしか過ぎぬ、我が名を?
光栄の極み!
私目の名は、ジェームス・バインドと申しまする。
そして、マザー。
かの方は、セントラル・サーバ様の別称にてございます」
そのような返答がな。
いや、セントラル・サーバの名がマザーって…
ベタ過ぎんかね?
も、良いわっ!




