脱出!生還!そして帰還へと、エピソード15
修行のために入った亜空間。
普段は、造られたらしい都市とやらへは、近付いて無かったんだが…
皆んなが差し入れで持って来る、食事に惹かれて行ってみたんだが…
まさかの異界でした。
正直なところ、全く興味なかったので見てなかったんだわ。
あまりにもシツコイからさ、遠視と透視で見てみたら…
「んじぁぁぁっ!
こりゃぁっ!」
思わず叫んでしまったのは、仕方あるまい。
今、亜空間内の環境は、俺が住む国の国土面積ん遥かに超えている。
我が国の数十倍か?
人口は、俺の分身…以外にも居るな。
あれぇ?
確認したら、分身同士で結婚した者がおり、その子孫なのだとか。
いや、子供作れるんだぁ。
それでも、多いとは言えない。
これでは、労働力が足りない。
だが、それを補う存在がな。
ロボットやアンドロイドなどと言う、人型機械だ。
異世界転生さんの記憶から、その存在を知ったクロード様たち。
魔術と科学を融合させた、魔科学なる物を確立させてな。
これにて様々な物を、造り出したらしい。
ロボットやアンドロイドは、その一つだな。
一見、普通のヒューマンに見える人が、実は作り物でしたとかな。
頭おかしくなるわっ!
しかも思考は、コンピュータとか言われてるヤツではない。
細胞増幅にて作り出した擬似脳へ、上位精霊が宿りアンドロイドを制御しているんだわ。
いや、上位精霊用に体を用意したのか?
おそらく、精霊たちに請われて造ったんだろう。
強制したら制御できんだろうしな。
アンドロイドが、人と変わらない営みをしているのと違い、ロボットは完全に機械だな。
いや、一部の人型ロボットには、自我らしき物を備えたヤツが居るそうだ。
最新型のAIを搭載した者らしい。
実はセントラル・サーバのAIには、既に自我が芽生え、自由に思考が可能になっているらしい。
独自の思考で、様々な開発も行っているのだとか。
こんなコンピュータが都市を制御しているなら、反乱したり反逆したり人々を支配するのでは?なんて思うかもしれない。
だが、無理なんだよなぁ。
世界を構築している高位精霊や、各属性毎の精霊王。
これらに勝てるハズがない。
さらに、ここは俺の亜空間なんだわ。
俺が排除しようと思えば、簡単に行えるからな。
それが意識体であろうとだ。
だからSFみたいに、機械の反乱などは起こらんよ。
でも、そんなAIをセントラル・サーバが備えてるなら、ロボットへも搭載したら?って、思うだろ?
無理なんだよ。
AIをインストールするには、記憶媒体の容量がな。
ソフトにハードが追い付いてない訳だ。
ま、セントラル・サーバが、手足となるロボットを使っているみたいだがな。
しかし、時加速状態とはいえ、文明発達し過ぎじゃね?
まぁ、浦島太郎だっけか?
あの状態になりたく無いからさ、長居をする気はないがな。
『その心配はあるまい。
先ほども告げたが、ダイルは改造ヒューマンである訳だ。
その改造なのだが、最後の改造時は危なかったのだよ』
いや、初耳ですが?
『それは、そうであろうな。
初めて告げたゆえ。
あの時は、魔術が使える者と精霊が、お主が死なぬように治癒をな。
マナを注げる者は、マナを注ぎサポートしておった。
それによりソナタは生還したが、思わぬ効果がな。
譲渡された記憶による肉体変化が発生したのだよ。
何せ、様々な種族から記憶を譲渡されておった。
それらの種族特性が、君へは宿った訳だ。
特にエルフ。
エルダー・ハイ・エルフの記憶を譲渡された者も居ったのでな。
君の寿命が、どれくらいなのか…正直分からない状態だ』
んじゃぁっ!そりぁぁぁっ!




