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脱出!生還!そして帰還へと、エピソード13

乗り場へ着くと、夜になるにも関わらず出る馬車が。

急ぎの場合に使われる臨時便だな。


俺たちが乗る馬車も確保されていた。

っと、役人が居るが、何かあったのか?


「待たせたのぅ。

 これが、ワシらが乗る馬車かぇ?」


ギムさんが確認すると、採掘クランのドワーフがな。


「ほうじゃ。

 じゃが、なんやら役人も同行するらしゅうてな。

 それを待ってからの出発になりそうじゃて」

「ふむ。

 今晩の内に、多少でも進めるならば良かろうて。

 少しでも早く進まんと、納期が厳しくなるでな」


そんな遣り取りをしていると、誰かが町役場の方から駆けて来た。

ん?

あれは、ハーシスさん?


「おや?

 アナタ方は?

 なるほど、同じ馬車になりましたか。

 私のせいで、お待たせしたみたいですね。

 特別料は、コチラで負担させていただきましょう」

そんなことをさ。


「良いのか?」っと、ギムさんが。


「構いませんよ。

 私にとっては、亜人を退けた実績のある方々の護衛を、安く手に入れた、ようなものですからね」

だってさ、チャッカリしてらぁ。


っかさぁ、絶対に俺たちの方が得してるんじゃね?

この臨時便なんだが、役人用に用意されたものだよな。

皆に確認したら、確保していた馬車から、こちらへ変えられたのだとか。


馬車自体も揺れない工夫がされており、途中での替え馬も用意された特別便だ。

領都へ急ぎ向かうための物だろう。

一般人が使える物ではないハズなんだがな。


まぁ、この度の報告報酬の一つなんだろう。


「さぁ、乗って下さい。

 夜通し走らせますから、馬車で寝ることになるのは、ご容赦を。

 一応は、夜食を用意させております。

 車内で食べながら、もう少し詳しい話しを、お聞かせ願えますかな?」


あ、事情聴取も兼ねてら。

本当に、チャッカリしてんなぁ。


「食事は、コチラでも用意してたんですけど」って、リンが困ったようにな。


「なぁーにぃ、皆んなで訳で食えば良いじゃん。

 車内パーティみたいで、楽しいぜ!」

いや、ゾック?

どう言う思考してんだ、お前。


「何やら楽しい方も居られますな」っと、ハーシスさんが苦笑を。


まぁ結局、乗り込んでから食事になったんだがな。

俺たちが乗り込んで、ほどなく馬車は走り始めた。


馬車は夜道を走るが、ライトの魔道具を屋根へ設置して、周囲を照らしながら走っている。

これなら事故もないし、襲撃も、直ぐに分かるだろう。


っても、俺が領都までの街道へ糸を巡らし、危険を排除済みだからな。

危険などあるハズもない。


しかも、馬車を軽量化させ、馬もケアしつつだからさ。

速い、速い。

辺りが暗闇だから、皆は分かってないみたいだがな。


俺たちの方が用意した食事は、キッシュとジャガイモのフライだな。

ハーシスさん側は、サンドイッチか。


結構な量にバリエーションだな。

味は、そこそこだが。


『それは、そうだろう。

 亜空間都市で造られる食事は、異世界と言っている日本とやらの食事が基準だ。

 あの食に対する拘りが可笑しい記憶を、元にしてあるのだからな。

 劣るのは当然であろうに』


そうなんだよなぁ。

アチラで食事をするとさ、コチラでは満足できなくなるのが悩みなんだよ。

困ったものです。

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