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脱出!生還!そして帰還へと、エピソード12

俺は立ち上がり会釈を。

まぁ、貴族的な礼儀なんぞ知らんからな。

そして報告を。


「紹介に上がりました、クラン・ミミズクのとまり木へ所属しております、ダイルと申します。

 私の職業は斥候でありまして、探索などを生業にしております。

 この度、亜人が現れた際に殿(しんがり)となり、皆を逃した訳です。

 ですが、出口方面に現れた亜人に道を塞がれまして、坑道内を彷徨うことになりました。

 その際に現れた亜人が、ゴブリン、オーク、オーガ、トロルとなります」


「何ぃっ!

 それは、本当かね!」


町長が目を剥いて、椅子から腰を上げ詰問調にな。

まぁ、ことが、ことだけにな。


俺は軽く頷いた後で続ける。


「間違いないです。

 そして、坑道の奥に穴が空いてました。

 そこから遺跡へ通じており、狼人族(ろうじんぞく)が亜人を率いているのを目撃しております。


 私からの報告は、以上もなります」


そう告げてから、頭を下げる。

したら町長が、上げ掛けてた腰を落とすように座る。

そして頭を抱えてしまったよ。


「オーガやトロルだけでなく、狼人族だとぉ?

 領兵や領の騎士団では、対処できん。

 陛下へ、御領主様が派兵を願い入れてはおるが…

 認可されたのだろうか?」


いや、そんな事を、この場で言われてもなぁ。


「さて、報告は以上じゃ。

 報告へ対する報酬を頂こうかいのぅ。

 ワシらは納期が迫っておるで、(はよ)う立ちたいんじゃよ」


いや、ギムさん?

この状態で催促する?

アンタぁ、ある意味、勇者だよっ!


「う、うむ。

 できたら手を貸して貰いたかったが…

 そうか、納期が、か…

 仕方あるまいな。


 ハーシス君。

 手配して貰えるかね。

 私は、この事を書面に纏め、直ぐに御領主様へ報告せねばならん。

 村へ送る兵の手配も必要か。

 頭が痛いことだ」


そう告げた町長は、即座に席を立ち行ってしまったよ。

まぁ、この非常事態ではなぁ。


それから俺たちは、報告の報酬を受け取り役所を出る。

他のメンバーが、帰りの馬車を確保しているハズだ。

急ぎ足で乗り場へとな。


報酬なんだが、結構な額が入ってたんだが…

「本当に良いんですか?」

思わずな。


「構わん。

 ワシらは、逃げておったに過ぎんからのぅ。

 情報としては、お主の物が、ほとんどじゃてな。

 皆にも確認済みじゃて」


そう言われてはなぁ。

ってことで、報酬は全て俺へと。

とんだ臨時報酬だな。


『いまさら、その程度の金子を得ても、意味あるまいに?』


いや、クロード様?

お金は大事ですよ?


『亜空間へ都市まで出来ておるのにか?


 あの不思議な異世界人とやらの知識。

 科学?か?


 それと魔術を融合し発展した都市。

 その主が君なのだが…

 いまさら、コッチの世界で得る物など有るまいに』


いやいや。

あれは、アナタ達が勝手に暴走して造ったんでしょうに!

俺にとっては高度過ぎて落ち着かないですからね!


こっちで、のんびりとやりますよ。


最近さ、亜空間への移住を勧められてるんだわ。

俺は慣れ親しんだ生活が良いてーのっ!

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