脱出!生還!そして帰還へと、エピソード1
指輪を扉の窪みへ嵌め、扉を開く。
一応、分身は解除して、俺1人だな。
開いた扉を潜り進むと、扉が落下。
うん、何時もの仕様やね。
様式美?なんか違う。
糸を先行させ、状況を調べてはいる。
ついでにインベントリへ、色々と頂戴したりな。
農産や畜産などのエリアや、魚の養殖場?などもあった。
海水、吃水、淡水と環境を整えて、自然にっうか放置だな。
無論、それらは全て亜空間へ保護したよ。
良い事した後は、気持ちが良いものです、はい。
この施設を造った帝国時代の魔道具なども見つかったよ。
クロード様が告げるには、文明的には中位の下段、または、下位の上段ていどとのこと。
え?
俺たちの文明?
下位の下段以降で、文明と評価できるか微妙らしい。
失敬な。
奥へ進むと居住区だった。
だったんだが…
なんかさぁ、殺し合いでもしたのか?
惨殺体もあるが、明らかに戦闘を行った形跡がな。
どれくらいの時が過ぎたのか分からんが、いまだに戦闘があったことが分かる。
激しい戦いだったのかね?
戦いで倒れたらしき死体は6体。
他に7体ほどの遺体がな。
コチラは遺体に損傷はない。
多分だが…餓死だろうな。
それらには、全て指輪がハマっていた。
うん、亡霊さんが居るな。
死後も拘束すんなよ、蹴ったクソ悪い。
直ぐに指輪を死体からハズす。
これで皆さん成仏できるでしょう。
ん?
成仏なさって、良いんですよ?
俺は亡霊っか魂を見れるが、話せる訳ではない。
ましてや、何を思ってるのかを押し測ることもな。
だから、彼ら彼女たちが、何故去らないのか…分からない訳で…
そんな困ってる俺へクロード様がな。
『どうやら彼らは、ダイル、君に仕えたいみたいだぞ』ってね。
へ?
俺へ仕える?
なんで?
っか、なんでクロード様に、そんなん分かる訳?
『おいおい。
忘れてはおらんだろえな?
私は、ワンドに宿った霊魂、彼らと同じ存在だ。
それに精霊化により、魂の位も上がっておるのでな。
彼らとの意思疎通くらいは行えるからな』
あ、確かに…
他のメンバーは擬似記憶であり魂はない。
だが、クロード様は実体っうか実魂があるんだったな。
ちなみに擬似人格たちは、俺の魂が生み出した感じになるらしい。
だから成仏できないし、俺から離れられないんだとさ。
ま、余談は別としてだ。
「それで、なんで彼らは俺に仕えたいと?
自由になったんだから成仏された方が、良くないですか?
それに平民の俺は、人に仕えられる身分じゃ無いんですけど?」
全く、意味が分からん。
『ふむ。
最初に仕える気になったのは、6人だな。
彼らは、この施設を造った帝国の民だったらしい。
日々、生きて行くのに精一杯だったらしくな、世の中を見て周れるなら見たいと。
霊体で動き回るのは、本能的に危険と分かるらしくてな。
だから君に着いて行きたいらしい。
他の7人は、様々な時代の者たちだな。
帝国人たちの考えを知り、面白そうだと、なったらしい』
へー
俺は、物見湯山の乗り物ですか?
ガッデム!
『タダではなく、対価として記憶譲渡するらしいぞ』
ん?
この中にエルフさんは居ないみたいだが…
なんで、記憶譲渡を知ってるんだ?
不思議に思ってるとさ。
『ん?
私が教えたが?』って、不思議そうに。
いや、何しとんの?
ビックリです!
「ふぅ。
そんなんしてまで、俺へ着いて来たいですかね?
クロード様いわく、かなり低い文明レベルなんですが?」
大丈夫らしい。
逆に、どんな世界か気になるってさ。
しかしワンドへは、容量的に全員は無理だろう。
俺自身へ宿るのは止めて欲しいしなぁ。
どうやって連れてくんだ、これ?
そう思ってたらな。
『私がワンドへ宿るのは、ダイルと遣り取りするのに便利だからに過ぎん。
普段は亜空間で過ごしておるからな。
皆には、亜空間で過ごして貰えば良かろう。
それに物質化にて分身を与えて貰えるなら、亜空間内を我らで開拓しておくが?
亜空間ほどマナが溢れておれば、我が術式で分身も保てるのでな』
へ?
マナが溢れてる?
精霊さんが大量に使ってたハズだが…なんで?




