鉱洞での採掘依頼、エピソード48
とりあえずは、皆に報告。
報連相は大事だよ、うん。
たとえ記憶が共有されていて、皆に直ぐバレるとしてもだ。
それで、ドワーフさん達、むろん譲渡記憶から現れた擬似人格さんだが…素材取り放題って分かると、目の色が変わった。
そしてな、黒鉄装備を時戻しして、黒鉄鉱石を、ご所望ってな。
いやいや、黒鉄の装備なんて、持ってないかんね!
したらな。
「いやいや、黒鉄の武具は、この地に溢れておろうが?」
「おぅよ!
今のワシらなら、集めるのも容易かろうしな」
などなどとな。
一体、何を言ってんだ?
したらな、ドラゴニアン達が話しに参戦。
「なにやら、面白そうな話しをされておられますなぁ。
それは、アレでござろ?
ドラウルら…
キャツらがしておる装備、たしか…アレが黒鉄でござった」
「そうじゃ!
ワシはの、ヤツらの装備を見て、なんとか、ならんかと思うたが、流石にのぅ。
多勢に無勢では、手も足もでなんだわい」
ああ、彼って、唯一ここまで来れたドワーフさんだね。
ドワーフって、確か身軽ではなく、隠密行動も得意では無かったハズ。
良く、ここまで来れたなぉ。
そんなん思ってる間に、ドラウルエリアへ突撃することが決まってた。
いや、なんで?
それに、俺も襲撃メンバーに数えられてるみたいなんだが?
俺は斥候職であり、偵察や撹乱などがメイン任務の職だ。
戦闘職では、ありません!
「なぁーにぃ、大丈夫でござろ?
武技も扱えると、クロード殿から伺っておるが?」
「いやいや、武技が使えたからって、何で態々ドラウルと?
不要な戦闘は、避けたいんですがね?」
これではケインと変わらんではないかっ!
それでも、しつこく言い募るのでさ、数体のドラウルを倒しました。
「そこまで言うからさ、数体倒しておいたから」
そう告げると、言い募ってた武丸さんとギムレットさんが、首を傾げる。
あ、ギムレットさんは、ここへ到達したドワーフさんね。
「はて?なんのことじゃ?
ダイル殿は、ここから動いておらぬようじゃが?」ってさ。
だから種明かし、つっても、大したことをした訳ではない。
物質化と並列思考、それに譲渡された記憶と経験と言う技能を組み合わせただけだ。
ん?
それでは、分からん?
まぁ、そうだろうな。
端的に言えば、鋼糸を使用しただけだよ。
物質化にて創り出す鋼糸は、俺の体に触れている限り、幾らでも長くできる。
しかも動きもマナや気を介し操れるため、ドラウルが居る所まで伸ばしたんだわ。
しかも糸を介して、察知系技能を使うことも可能。
ドラウルへ糸を忍ばせ、首に巻き付けたら斬る。
それを複数同時に行っただけだ。
この鋼糸てぇのは便利でな。
相手に見付かり難いのもだが、様々な属性を纏わすことも可能。
大概の敵は、鋼糸で倒せるんじゃないかな?
てなことを告げたら、何故かドン引きされた。
なんだ?
「敵と相対し、倒すのが醍醐味でござるが…
理解できぬでごさるなぁ」
そんなこと言われてもさ、俺は、そちらの方が理解できませんって。
でぇ、擬似人格分身さんの大半が、ドラウル狩りへと。
当然、得物は俺が物質化にて創りわたしたよ。
嬉々として狩りに行ったが…理解できんわっ!




