鉱洞での採掘依頼、エピソード45
鼻柱へし折られた訳だが、一応は並列思考を行えるようにはなった。
でさ、俺、思った訳よ。
物語などに描かれる、分身って、できんじゃね?ってな。
「クロード様。
この並列思考って、自分の思考を同時に複数行ってますよね?」
そう尋ねるとさ
「うむ。
確かに、そう言えるな。
それが、どうかしたかね?」
困惑顔で、応えてくださる。
あ、今、顕現中ね。
「これって思考毎に体を与えて、分身として扱えないですかね?
そしたら、色々と便利なんですが」
俺の考えを伝えたらさ、しばし考えられてからな。
「ふむ、不可能ではない。
無いが…難しかろうな」っと。
「え?
それは、なぜです?」
意外に思い確認を。
「勘違いしているようだが、魔術の並列思考行使は、定型術式を同時起動させる技術だ。
ゆえに単純作業だとも言える。
だが、ダイルが告げる分身を、並列思考にて操る場合、個々の分身毎に行動を操らねばならん。
なれば、難易度が上がるのが、当たり前であろ?」
指摘されれば、確かにそうなんだが…なんか行けそうなんだよなぁ。
何処から来るんだぁ、この確信?
「確かに、言われてみれば、そうなんですが…
なんか行けそうな気がするんですよね」
首を傾げなから告げるとだ。
ため息を吐きつつクロード様がな。
「ならば試してみるが良い。
それも経験だ」ってな。
なので、さっそく分身を創り並列思考で…
え?
俺の制御からハズレた!?
「なっ!
どうなってんだ!?
勝手に動き出したぁ!!」
慌てる俺へ、分身の俺がな。
「落ち着きなさいな。
アタイはさ、アンタへ記憶譲渡したエルフのケイさ。
どうやら擬似人格らしいね、アタイ。
魂はないみたいだから、一時的な存在かぁ。
思考と行動は、アタイ持ちみたいだから、アンタがアタイを制御する必要はないよ。
ふむ、アタイが生前にできてたことは出来そうだね。
うん!
これから、よろしくな、マスター!」って、背中を叩かれた。
なんか豪快な人らしいが…
「俺の姿で女言葉は、止めてっ!」
思わずな。
俺は、カマじゃねぇっ!
したら、一瞬キョトンとしたケイさんは、ケタケタ笑いだした。
「確かに、この姿じゃぁ、アタイの話し方は合わないね」
そう告げると…姿が変わる。
あ、女性…しかも美人エルフへと。
ん?なんかさぁ、一部盛ってね?
その姿は、亡霊さんの1人、1番最初に記憶譲渡してくれたエルフさんに、そっくりだった。
胸を除けば、だがな。
エルフってさ、美形が多いんだが、スレンダーな方が多い。
良く言われるのが、胸が有れば最高なんだが、だな。
ま、酔客が告げ、女性から白い目で見られるか、叩かれるまでがセットの常套句ではある。
で、そんなエルフであるケイさん。
亡霊時の姿は、一派的なエルフ美女でしたが…
うん、盛ったなぁ。
しかし、譲渡された記憶を元にした擬似人格かぁ。
俺はドラゴニアンの武人である武丸様を、分身で創り並列思考制御する。
その際に、武丸様の記憶を意識しつな。
したら、分身は俺の制御を外れ…
「ほぅ、某を顕現して下さるか。
うむうむ、分かっておられる。
この武丸!
役に立ちましょうぞ!」
なんか熱い方が顕れてしまった。
チョイス間違えた?




