鉱洞での採掘依頼、エピソード４４
クロード様…要求が厳しいっす。
靄のように漂うマナや微精霊を操り、気でコーティング？
魔術を扱う感じでって…
俺、斥候で、魔術師じゃ無ぇっすよ？
魔術を扱うのを、当たり前のように言われましても…
『むっ？
魔術が扱えない？
武技は、どうかね？
ダメ？
………それは、おかしい。
君は知識と経験を譲渡されたハズ、やり方は分かるだろ？』
そんなことをさ。
「いやいや、やり方が分かったからって、行えるとは…」
『いや、できるハズだ。
肉体改造され、武技を繰り出すのにも耐えられる肉体になっているだろう。
体内のマナ量や気量も、潤沢だぞ。
なぜ、出来ないと思うのかね？』
そう諭され…特訓が、始まった。
うん、スパルタです。
数日掛けて、様々な魔術と武技を。
ダメ出し連発にて、やり直しがががっ！
で、魔術と武技の行使が行えるようになった頃、物質化制御も可能にな。
そして、俺の前にはクロード様が居る。
そう、物質化にて創り出したクロード様だよ。
生きてるエルフにしか見えない。
っか、生前のクロード様の姿だな。
亡霊として指輪へ縛り付けられてた姿を模したんだがな、本人いわく、生前と全く同じらしい。
しかし、姿見を魔術でって、どうなんだ？
氷結魔術は、クロード様の十八番らしく、氷で鏡をな。
何度も鏡に映る自分を見回し、納得してたよ。
で、クロード様が顕現なされてから、１時間は経つ。
結構、持つんだなぁ、これ。
物質化にて、弓や剣、槍なども作ってみた。
コレがさぁ、結構、質が良いんだわ。
クロード様いわく、ドワーフやエルフの記憶が、影響してるのでは？っとのことらしい。
大概のエルフは弓に長じており、弓矢の自作も行う。
そして作られたエルフィンボウの質は高いのだとか。
その知識、経験が、物質化にて作られた弓に反映されたのだろうってことだ。
剣や槍などの武具は、ドワーフの記憶と経験がな。
ドワーフならば、大概は鍛治を行うものらしい。
そんな彼らの知識が反映されたのだろうな。
そんな武具だけでなく、実は食料も出せたよ。
しかも調理済みのな。
物質化には制限時間があるため、食べても意味ないっと思うだろ？
しかし、物質化が解けると、マナになる訳で…そんなマナを消化器官を通し得られたら、栄養を補給できたのと変わらないんだとさ。
つまりは、食料を自前で賄えるってことになる訳だ。
しかも、俺の記憶だけでなく、譲渡された記憶にある料理、それが食器ごとな。
テーブルや椅子も出せるぞ。
ベッドなどの寝具どころか、一般的な家程度なら物質化で創り出す自信はある。
ただ、顕現時間が１時間だから、寝具などを創り使用するのは微妙だがな。
まぁ、物質化の使用に慣れ、マナや微精霊に気の扱いに長ければ、物質化した物の顕現時間も伸びるそうだ。
今はクロード様の指導の元、魔術行使の基礎である並列思考を鍛錬中でな。
これが、なかなかに難しい。
今は５つほど、並列思考にて魔術を展開可能になったがな。
これは、記憶と経験を譲渡されたから、この早さで出来るようになったらしい。
何十もの魔術を展開しながら、クロード様がニコヤカにな。
軽く鼻を、へし折って下さりますです、orz
