鉱洞での採掘依頼、エピソード４２
俺さぁ、ヒューマンから逸脱させられたらしい。
そのことで混乱状態の俺へ、クロードさんがな。
『おかしいとは、思わなかったのだろうな。
普通なら、洞窟を引き返しているだろ？
死ぬリスクを取るより洞窟を戻り、脱出した方が良いに決まってるからな。
ゆえに脱出した者もおるだろう。
だが、ある程度は有能と判断された者は、台座へ挑むように意思を制御されている。
この術式が、中々に面倒でなぁ。
私自身への術式は解けたのだが…
何故かダイルへ掛けられた、台座へと挑ませる意思コントロールの魔術が解けぬのだよ。
どうやら譲渡された記憶が影響しているみたいでな。
済まん』
なんかクロード様に謝られたんですが？
「いやいや。
クロード様が居られなければ、意識を乗っ取られてたんですよね？
こちらが感謝することはあっても、謝られることは無いですから！」
慌てて告げたよ。
しかし…即死の罠に気を取られるようにし、さらなる罠を仕掛けてるとは。
なんたる、悪辣！
クロード様いわく、譲渡された記憶が元で、有能と判断されたのでは？っとのこと。
俺が有能な訳ではない訳ね。
納得。
『さて、次の台座なのだが…これが中々に難物でな』
「っと、申されますのは？」
『能力強化とされているが、被験者の潜在能力を引き出すらしい。
これは、流石に私にも仕組みが全くな。
私は精霊化と術式強化であったよ。
肉体が合った頃は、精霊化と聞いて首を傾げたのだが…
今の状態になって合点した。
魂の状態であれば、使用できる力でな。
魂の位が上がり精霊となった。
しかも、術が強化されておるから、死者蘇生も可能となったぞ。
まあ、肉体が存在し、魂があること。
死後１時間以内であること。
その様な制限があるが』
いや、十分過ぎるでしょ、それ。
ってことは…クロード様のワンドがあれば、俺、死なない？
台座…もはや、怖くなぁーい？
そんなことを思っているとな。
『ただ、生き返れるからと言って、死んで良い訳ではない。
この死ぬっと言う行為は、なかなかにキツい。
おそらくは魂へも、かなりの負荷が掛かっているだろう。
下手したら魂に傷を負い、後遺症に苦しむ可能性もな。
安易に考えないことだ』って、釘を刺されたよ。
俺って分かり易い？
したらさ、ため息吐かれました。
どうしたんだろ？
『ダイル…
君へは記憶を譲渡した際にパスが創られている。
ゆえに、君が考えることは、私に筒抜けだからな』
なんですとぉ！
イヤァ〜ン。
『止めぬか！
気色の悪い！』
あ、本当に筒抜けでやがる。
『心配するでない。
表層心理しか得られぬからな。
まぁ、記憶譲渡した際に、君の記憶は得ておる故、今更ではあるが？』
あ、そだった。
ん？
そうなると、あの美人エルフさん達にも、俺の記憶力が？
マジかぁっ！
したらな。
『？
美人エルフ？
何故、そんなことが分かる？
死者の魂は球体の炎であろ？』
そんなことを、クロード様がな。
どうやら、死者の魂を生前のように見れるのは、俺の固有能力だったみたいだ。
そんな能力、嬉しくないんですがっ！
