鉱洞での採掘依頼、エピソード41
激痛の試練を潜り抜け、改造されたらしい俺はさ、状態異常無効能力についての確認を。
先程と同じく、台座へ確認機能がな。
うん、全能力対象だね。
これ、知識譲渡されたからなんだろーなぁ。
全てか、何れかってぇのはさ、多分、全てって思って無かったんだと思う。
つまりイレギュラーなんですね、分かります。
「俺、無敵?」
調子に乗って、そんなこと言ってると…
『そんな訳あるまい』ってクロード様に、ため息を吐かれてしまった。
あれぇ?
『所詮は先史文明の技術で与えられた、擬似機能に過ぎないのだぞ。
移動強化と称している技術。
アレは重力制御魔術を自動展開しておるに過ぎない。
ゆえに、術式阻害結界などが施されておれば、使用不可能だろう。
使用中に術を解除する魔術を使われると、制御が解かれて落下の危険もあるだろうさ』
え!?
アレって、そんなんだったんだぁ!!
『透過の技術は、素晴らしいが…
やってることは、移動強化と変わらない。
アレも所詮は魔術だ。
故に、マナコーティングされた場所を、潜り抜けることは出来ない。
さらに透過中に魔術が切れると、物に埋まる危険もあるからな。
生物を透過するのは困難だろう。
まぁ、恐らくは医療技術の透視が、元となったと推測されるから、生物内部を透視することはできるだろう』
いやさぁ、別に生物内部を見たく無いし。
なんか微妙?
『そして、状態異常無効か?
そんな都合の良い能力、あるハズあるまい。
ある程度は無効化するだろう。
だが、先史文明で対処不可能だった状態異常を、どうやって無効化するのだね?
古文書にあるガビザ。
滅びた、いにしえの呪われた都市だな。
実はな、あれは実在するのだよ。
放射能と言う毒が撒き散らされており、対毒魔道具が一切効かない。
知り合いが調査へ向かい、病に犯されたからな。
さらにドラゴンなどの強烈なブレス。
マトモに喰らったら、唯では済むまい』
俺、かなり凹んでますです、はい。
そんな俺へ、クロードさんが続ける。
『さらにだ。
この悪辣な施設が、タダで能力を授けるハズがあるまい?』
「いや、現に今、幾つか得てますけど…」
『この部屋へ来るまでに得た珠へは、何の古細工はされて無かった。
それは選別をしていたからだ。
不要な者には行ってなかっただけのこと。
だが、この部屋の珠には、洗脳や隷属化、支配下へ降るような魔術が、施されていた。
ダイルは、譲渡された記憶がレジストしておったゆえ、ある程度は大丈夫だったが…
まぁ、私が完全に除去しておいたから、安心するが良い』
俺…そんなん、なってたんやぁ〜
ひぇー
『そんなことよりもだ』
え?これが、そんなこと、な、の?
『この文明独自の機能なのか、被験者の記憶や経験などを元に、肉体を強化改造している。
これが、問題でな。
ダイルは複数の魂から記憶と経験を譲渡されている。
これを元に、3回も強化された訳だ。
ドラゴニアンを含む異種族の記憶を元にだぞ。
もはやヒューマンとは、呼べぬであろうな』
いや、ヒューマンと呼べないって…
だったら、俺は、なんなのよ!?




