鉱洞での採掘依頼、エピソード３９
台座近くで亡くなってる死体から、指輪を抜き取る。
自壊し砂になる死体と指輪。
残されるのは、解放された亡霊さん達な訳で…
うん、ヒューマンが、１人も居ない。
ドワーフは１人、後はエルフとドラゴニアンだな。
で、エルフさん達は、記憶譲渡が基本なのか、当たり前にな。
生きた証を残したいて言う願望があるらしく、エルフさん達は、こぞって記憶の譲渡を。
そうしたらさ。
伝染した訳では無いのだろうけど、他の亡霊達も。
以前に譲渡された経験があり、その記憶を扱って来たからか、最初の頃に比べると、非常に楽だったよ。
そして、衝撃の事実が！！
壁文さんの亡霊がな。
あー、亡くなられてましたかぁ。
最後の台座。
そう、１番右端の空間系能力が得られる台座で、亡くなられていたエルフさんでした。
彼の手には、マジック・ワンドが。
このワンド、魔力を込めると文字を書くことができるそうだ。
何気に譲渡されましたよ。
他に精霊さんが宿った品も。
コチラは、装備していたネックレスへ移ってくれました。
火精霊が３ダブり、水と風の精霊がダブって、統合したな。
力を増したみたいだ。
後、光と闇の精霊も。
これは非常に珍しい精霊らしく、滅多にお目に掛からないのだとか。
で、生命の精霊が３体ほど。
珍しい精霊だが、治癒を司る精霊であるため、探索者が宿したアイテムを持つことはあるらしい。
イヤイヤ、それは、あなた方の時代では、ですからね。
現在では、精霊使いは珍しいっと言うか、皆無じゃないかなぁ？
亡霊さん達を解放し、知識譲渡された訳だが…壁文さんだけが、異色でした。
彼の名はクロード。
いや、正式な名はある、有るんだが…長ぇよっ！
数十の文字列を連ねるてぇ言えば、分かるだろうか？
彼は貴族、しかも公爵家の跡取りだったらしい。
政争に敗れたっと言うか、仲間と思っていた友に裏切られたらしい。
罠に嵌められた感じか…
で、政敵に追われ、この遺跡へと。
そうかぁ、敵に追われて逃げ込んだんじゃ、引き返せないわな。
でな、彼からは、貴族のイロハや教養、礼儀作法にダンスに至るまで、様々な知識を。
うん、使わん！
領地経営の仕方を知って、俺にどうしろと？
だが、彼の知識と経験を得たのはデカい！
譲渡知識が、生き残れる可能性ならば、最後の台座までは死なないってことだ。
まぁ、何の根拠もないんだがな。
でもな、生き残れる可能性が、例え気休めであろうと上がるのなら、それにこしたことはないかんな。
で、クロード様？
他の方々は昇天されましたよ？
何か、御用で？
そう、クロード様が去らないんだわ。
したらさ、ワンドに宿られて…って、何しとんのっ！
あ、ワンドからクロード様の意思が…
コレってさぁ、念話てヤツ？
マジでぇ？
『聞こえるだろうか？
私は、クロード・フォン・アルベルト・…』
長いんですが！？
「記憶譲渡されておりますから、存じております。
それで、ワンドに宿られたのは？」ったらさ。
『私が死んでから、我が国がどうなったのか…知りたいのだ。
それに、今の世界にも興味がな。
適正なしとして死んだが…今の私なら時空魔法が使用できるみたいでな。
私が宿ったワンドを腰に刺し、最後の珠を嵌めれば、生き残れるやもしれん。
ゆえに交渉だ。
生き残れたら、私が宿ったワンドも連れて行って、貰えないだろうか？』
そんなん依頼されてしまったよ。
さて、どうしよう？
