鉱洞での採掘依頼、エピソード36
壁の古代文字はっと、何々?
《良くぞ、ここまで来た、素晴らしいぞ!
貴族でない下等な存在で、良く来た。
褒めて遣わそう。
さて、諸君らも知っておる通り、帝国は戦争状態である。
卑怯にも周辺諸国が連合となり、我が帝国へ仇なしておる訳だ。
そのため、帝国民たるもの、全者一丸となり、ことに当たらねばならん!
例え下等な貴様らであろうとだ!
まぁ、ここまで来れたなら1つ褒美とし、左端の珠をリスク無しにて与えよう。
珠の能力は台座に書いてある通りだ。
その珠を取ったら引き返すが良い。
なに、ここ迄来たのなら、簡単であろ?
帰って任務に着くが良い。
だが、さらに力を欲するならば、他の台座へ浮かぶ珠を取るが良い。
お勧めはせぬがな。
なにせ貴族の者でも適正無しで死者が出たのでな。
ドクトル・ベルガへルター殿よ…
やはりマッド・ウィザードだよ、君は。
さて、賢明な諸君は引き返すだろう。
もし進むなら…覚悟して挑むことだな》
そんな偉そげな文章がな。
なんか気に入らん。
しかし帝国かぁ…どの帝国だ?
この地には、様々な文明が生まれては滅んでいる。
有名なのは、様々な人種で構成されていた文明だろう。
特にエルダーのハイ種であるヒューマン、エルフ、ドワーフ、ドラゴニアンが率いていた時代。
合議性でな、平和で豊かな国だったんだとか。
この時代ってさ、道の上を浮いて走る車?とか、沢山の車両を連結して走らす列車?や、空飛ぶ乗り物もあったらしい。
高い建物や、個人で空を移動する手段とかも。
いやさぁ、想像できんのだが?
そんな帝国は、身分差は無かったらしいな。
つまり、古代語の帝国では無いのだろう。
まぁ、どの帝国であろうと、民をゴミみたいに扱うのはなぁ。
それは、そうと…
引き返せかぁ、簡単に言いよる。
アソコを戻れってか?
無理では無い?
いや、閉じた扉を、どうやって開けろと?
たしか隠し通路にて、ガンラエリアへ入った場所へ戻った時、扉を確認したな。
指輪を嵌める窪みは無かったハズ。
あの時さぁ、上も確認したんだよ。
そしたら扉がな。
いや、壁を歩いて上がれとでも?
首を傾げたが…なるほどね。
左端のリスクなし台座へ刻まれた古代文字。
それにな。
《【移動強化】
本能力は、足が着く場所なら、何処でも移動可能となる力である。
壁や天井、水上であろうともな。
当然、砂塵や泥沼、雪上でもだ。
氷上では、滑ろうと思わねば滑ることもあるまい。
この力で、敵内部へと進行せよ!》ってな。
こらぁ、斥候職にとって垂涎な能力だ。
この力があれば、どんな場所へでも移動可能だろう。
まさに最強の斥候ってな。
しかもノーリスクてぇのが、ありがたいな。
早速、珠を手に取り…
ふぅ、本当に、ホント、大丈夫なんだろうなぁ。
今までが、今迄だけに、躊躇するのは仕方無ぇだろぅがよ!
まぁ、嵌めたけどさ。




