鉱洞での採掘依頼、エピソード27
とりあえずは、辺りを見回す。
こんな時は、固定観念を捨て去り、柔軟に打開策を模索しないと、突破口なんざぁ見付からないかんな。
ってもなぁ、ガンラの幻惑範囲から抜けるのは…ん?
今、コウモリが頭上を過ってたか?
あ、ガンラの上を通過してったな。
これさぁ、ガンラの上を抜ければ行けんじゃね?
そうかぁ、飛べば良いんだな…出来るかぁっ!
俺は、鳥じゃねぇっ!
いや待て。
俺には、亡霊さん達に譲渡して貰った知識があるジャマイカ!
俺が飛行する手段はあるかいな?
無い?
だよねぇー
そんなに甘くはないかぁ。
ん?
知識を譲渡して貰ったんなら、スンナリ打開策が分かるのでは?って?
いやいや、世の中さぁ、そんなに甘くはないぞ。
彼らが生きた時代に、各々が得た知識だ。
それは1人の知識であろうと膨大となる。
そんなんを、凡人たる俺が全て身に付けれるハズなかろ?
だからさ、俺の意識が必要なとなる知識を探すとな、各自の知識から必要な情報を抜き出しすることが出来るんだわ。
こんな感じになってんよ。
そうだなぁ、俺の中にさ、亡霊さん達の本が埋まったってぇ感じかね?
この現象は、俺の能力では無い。
最初に知識譲渡してくれたエルフさんの魔術なんだわ。
あのエルフさん自体、複数のエルフから知識を譲渡されてたよ。
まぁ、譲渡時に相手は生きてたし、今も生きてる可能性があるがな。
なんせ相手はエルフだかんなぁ。
このライブラリーって魔術はさ、様々な知識を魂内へ本のように保持する魔術らしい。
譲渡時に譲渡相手の感情や意識なども写しとるからさ、知識を探す時は、相手任せとなるみたいなんだよ。
だからさ、譲渡されたからと言って、全てが分かってる訳じゃ無いのさ。
俺ん中にさ、巨大な図書館ができたと思えば良いのか?
そんな感じなんだが…
本が生きてる訳でないように、知識には自我はない。
そして俺が知識を身に付けた訳でもな。
だからさ、必要な知識は、つど探す必要があるのさ。
今、ガンラの検問を抜けれる可能性があるのは、ガンラ上空を、何らかの方法で通ることだ。
武技や魔術も考えたが、俺の技量では無理だな。
他には治癒術も使えるが…癒すシーンでは無かろうて。
いやさぁ、簡単な治癒術が使えるようになったからさ、これはこれで有り難くはある。
軽度の怪我や火傷、病に毒や麻痺などの状態異常を癒すことがな。
極めたら幻惑も治せるぞ。
その技量と精神力が有ればな。
俺?
無理に決まってんだろ?
何言ってんだ?
しかし、あの幻惑魔術の領域はヤバい。
見付からなくとも、範囲に入れば幻惑に掛かるかんなぁ。
現在の隠形の技ならば、ガンラに見付かることはなかろう。
だが、幻惑には掛かる訳でな。
そしたらガンラの前まで誘引されるだろう。
で、ガンラ前の俺はガンラに見付からず、幻惑状態で立ち尽くすことにな。
当然、身動き取れない俺は餓死だろう。
死んだら隠形が解けるのか?
そしたらガンラにマナ分解されるな。
解けないなら、ガンラ前で魂状態で立ち尽くすっと。
どちらにしても、ろくな未来じゃねぇな。
何せ魂もマナで作られてるからな。
完全消滅か…魂状態での拘束か。
どちらも勘弁いただきたいものである。




