鉱洞での採掘依頼、エピソード20
準備を終えた俺は、大蛇様の様子を伺いつつ移動。
丁寧に、無駄な動きをなくし、そして速く。
辺りを伺うことも忘れない。
大蛇様以外に、何かが潜んでる可能性もあるのでな。
動きが洗練されて来て、よりスムーズに、素早く動けるように。
この状況は、言い換えれば命懸けの鍛錬とも言えよう。
まぁ…こんな鍛錬、イヤじゃぁぁぁっ!
しかし、この石道。
どれ位の年月を経ているのか知らんが、全く摩耗して無いように思える。
これだけ流砂に晒されているなら、下手さしたら崩れていてもおかしくないだろう。
もしかして、石じゃ無いのか?
まぁ、崩れて無いから移動できる訳で、俺にとってはありがたい。
大蛇の側を通らなければなっ!
ようやく大蛇の住まう穴を通り抜けたよ。
正直に言う。
怖かったよぉ〜ぐっすん。
え?
成人してるのに情け無い?
確かに18となった今年、成人したわさ。
だが、コレとソレは、関係無ぇだろうがよっ!
そんなん思いつつ、穴から離れた岩陰へと。
大蛇様の穴を通り抜けた先には、2つの穴がな。
1つは、人が普通に通れる感じの穴っうか洞窟だな。
もう一つは、よじ登らないといけない場所に空いた大穴だ。
先ずは普通サイズの洞窟から調べるべきだろう。
そう思いつつ、腰を下ろす。
ザックを下ろして、水筒をな。
えらく喉が渇いてなぁ。
アレだけ冷や汗流せば、そうもなるか。
そんなん思いながら水筒の蓋へ水を注ぎ、少量の水で喉を潤す。
水は貴重だからな、ガブ飲みなんざぁしねぇよ?
そんな感じで一息入れてたんだが…
大蛇様、なんか有りましたかね?
鎌首上げておられますが、コチラを見なくて良いんですよ?
えーっとぉ、もしかして…見付かった?
何故に?
なんかさぁ、体が硬直して動かないんですが。
これが、蛇に睨まれたカエル?
いや、睨まれたダイルか?
あ、ダイルって、俺の名ね。
ん?
随分と余裕あるな?って?
んな訳あるかぁっ!
動けないから現実逃避してるだけさね。
なにか?
ヤバイ、ヤバい、やべぇっ!
どうすっよ、俺!
なんて思ってると、大穴の方から何やら気配が。
あれ?
チラッと見てみると、巨大なトカゲが!
ドラゴン?じゃねぇな。
ラウンドドラゴンっても、おかしくない巨体だ。
まさに怪獣!
大蛇様と大トカゲがな、睨み合ってます。
いや、そのな。
ここで怪獣大戦争は、止めて頂きたいんですが?
あんなんに、ここで暴れられたら、俺は無事には済まないだろう。
死活問題です!
しばらく2体が睨み合ってると、大蛇様が諦めたように、ソッポを向いた。
そして誘引香を発し始めたようだな。
なんだぁ?
したら、蜘蛛やシャウラスが、香りに誘き出されて現れたよ。
それらを大トカゲが喰らう。
ああ、あちらへ通じるのはココだけで、狭い穴からは行けない。
餌は、あちらにある訳で…蛇に呼び寄せさせたと。
そう言う関係な訳ね。
巻き込まれた俺は、ビビったわい!




