鉱洞での採掘依頼、エピソード2
急遽始まった予定外の採掘ではあるが、契約では、このようなケースも想定されているため、契約違反ではない。
ただ大掛かりな採掘を行うには時間が足りないため、調査が主となるがな。
魔術師のソリタが魔術で明かり灯し、その明かりの元での採掘だな。
俺とゾック、ケインは採掘補助なんだが…
正直、プロの坑夫が行う採掘に対し役立つとは言えないだろう。
まぁ、俺は斥候にて警戒を、ゾックは森での先導が、主な任務となる。
戦闘にも参加はするが、主力はドワーフ戦士2人だな。
魔術師のソリタは、魔術での補助と飲み水の供給がメイン。
むろん戦闘にも参加するが、補助が主だな。
治癒師のリタは治癒のため同行だが、料理担当でもある。
野営にも関わらず、美味い飯を食わせてくれるぞ。
ケイン?
戦士2人では心許ないゆえ、戦闘補助なんだが…正直要らんな、アヤツ。
いやな、剣の腕前は確かと認めよう。
だがなぁ。
要らぬ争いを引き起こすからなぁ。
居ない方がマシだわ、ほんと。
そう思いつつケインをチラリと見ると…居ないんだが?
何処行きやがった、アイツ!
「ゾック。
ケインしらね?」っと確認を。
「はぁ?
さっきエッタさんの補助してたぞ?」ってな。
だが、坑夫のエッタさん近くには、ヤツの姿はない。
なのでエッタさんにな。
「作業中にすんません」ってな。
普段は気弱なんだがな、作業中は、おっかないんだよ、ドワーフってさ。
したらな。
「んだぁっ!
急ぎけぇ!」って、怒鳴られた。
いやぁ、怒鳴らんでもさぁ。
まぁ、本人に悪気がないのは知っている。
けどさ、結構ビビるぜ!
「急ぎと言えば、急ぎですね」ったらな。
「んだぁ?」って…怖いよ、アンタ。
「ケインの姿が見えないんですよ。
何か頼まれました?」っと確認。
エッタさんも、ハッとした感じで。
「いんや、何も頼んでおらんが…
また、勝手なことしとるんかい?」ってね。
だからな。
「それは分かりませんが…これまでの事を考えると、その可能性が高いかと」
そう俺が告げるとな、他のメンバーも集まって来た。
なのでな。
「少し奥の方で、争う気配があります。
ケインかも」
そう告げると、皆は顔を見合わせて、ため息を。
「狭い鉱洞内での戦闘は避けるべきでしょう。
俺が様子を見て来ます。
皆さんは洞窟から退避して貰えますか」
そう告げたらゾックがな。
「もう放っとけば?
自業自得だろ?」ってな。
まぁ、一理あるが…
「斥候の俺が居て、状況確認もしないのはなぁ。
任務放棄とナジられても仕方ないからな。
とりあえず確認して来るよ」
そのように告げるとな。
この一行のリーダーであるドワーフ戦士のギムさんが。
「ふむ、仕方あるまいて。
儂らは先に出とるでな。
危なくなったら無理せずに引くのじゃぞ」
そう諭すようにさ。
「分かりました。
無理はしませんが…
出て1時間経っても戻らなければ、行って下さい。
危険を犯す必要はないですから」
俺が、そう告げると、ギムさんは困ったように頷いた。
ドワーフってさ、取っ付き難いけど、朴訥で誠実だからなぁ。
俺1人に押し付ける感じなのが引っ掛かるんだろう。
まぁ、斥候をやってれば、日常茶飯事さ。
だから気にしないで貰いたいものだ。