良し!遺跡へ行こう!エピソード11
早番の者に、小声で軽く挨拶してから資料室へと。
ここは、事務方で整理している。
ただ、不定期に情報紙が搬入されるため、日が変わった後にだがな。
ちなみに今日の情報紙は無しだな。
昨日以前の情報紙へは、束ねる為の穴が空けられ、種類別に紐で纏められている。
ただし、別種類の情報が混ざっている場合もある。
こちらの情報は正式書類では無いため、扱いがなぁ。
任務などで扱う正式書類は、別の保管庫でキッチリ管理されている。
あちらを閲覧するには、正式な許可が必要だ。
こちらは情報誌クラスの軽い情報しかない。
とは言え、知っておいた方が良い情報も混ざってるからな。
まさに玉石混交ってヤツだな。
俺は棚から情報紙を取り出し、確認する振りをな。
そしてデバイスを立ち上げ、スクリーン画面を出す。
これは俺だけが見える、透明な板みたいな物でな、宙に浮くように投影される画面だ。
ここへ、最近の情報を一覧で表示させ、知らない情報を閲覧する。
つまり、こちらが本当の情報収集だな。
しばらく情報収集を行っていると、マザーから連絡が。
えーっとぉ、なんだろね?
『見られず、捲られていた情報紙の内容を、こちらでチェックしておりました』
そのようにな。
『あらら。
そらご苦労なことで。
でも、有用な情報は無いだろ?』
だから、そう尋ねたんだ。
したらな。
『有用か?ですが…
知っておいた方が良い内容が、幾つか』
あれ?
そんな情報があるんだ?
なんだろか?
不思議に思ってるとな。
『マスターに関する情報です。
簡単に纏めてますと。
・伯爵様に謁見。
・模擬戦にて伯爵様からの猛攻を、避け切った。
・亜人に対する情報を持ち帰った。
・第三種褒章および報奨金を受け取った。
・打ち上げで、報奨金を使い切った模様。
・治癒師クラン聖光のリタと恋中か?
・イグムラス遺跡への討伐隊に召集?
・伯爵様のお気に入りか?
・子爵様が興味津々らしい
まだあります。
ですが、知っておいた方が良いのは、これらかと』
いや、なんで俺が話題になってんねん!
っか、情報収集してて、これ知らんかったら、ヤバかったやんね!
『マザー
サンキュー
マジ助かったわ。
これ知らんかったら、絶対にヤバかったよ』
『いえいえ。
ダイル様のお役に立てれば、本望でございます。
ワタクシと致しましては、お早めにのご帰還を、願っております』
『いや、そのね?
さっきも亜空間へ入ったでしょ?』
5分前だったか?
『それでも、こちらでは、かなりの時が流れますので…
ワタクシもですが、皆さん寂しがっておられますよ。
特に宝華様やお衣様ですが。
後、氷雨様に卜伝様もですね』
ん?
宝華ちゃんとお衣ちゃんは、分かるが…
『えーっとぉ。
氷雨さんと卜伝様もなの?』って、尋ねたらさ。
『はい。
お2人共、ダイル様をお慕いしてますので』
いや、ちょっと待とうか?
今、なんて?
『聞き間違いかも知れないから聞くけどさ。
氷雨さんと卜伝様がなんて?』
そう確認を。
『ふぅ。
マスター。
その鈍感過ぎるトコを、治す必要がありますね。
お2人以外にも、マスターを慕っている方は多いですから。
何時か刺されますよ、女たらし様』
『誰が、女たらし、やねん!
俺、何もしてないし、気付いても無いやんね!
理不尽じゃね?』
絶対、酷いよね!