鉱洞での採掘依頼、エピソード14
破格な能力を手に入れたが、手に入れたばかりでな。
使い熟しているとは言えないだろう。
何処まで気配を消せるのか。
どんな生き物にも姿が見えないようにできるのか。
触感を与えないようにできるのは、複数に対しても可能なのか?
考えれば、色々と粗がありそうだ。
完璧な物などないかんなぁ。
慢心して死にました、じゃぁ、シャレにならんわい!
さて、検証は、ここまでにして、先に進みますかね。
だが気を付けるのは、扉だ。
たぶんさ、上へ上がる感じで開くんだろうよ。
そうなれば、閉じる時は落下するが如くと考えて良いだろう。
最初の扉が潜ったら暗闇だったことを鑑みるに、潜ったら能力を試すような場所だと、想定できるからな。
扉が落ちた轟音で、何が押し寄せるように現れるやも。
そう考えるとだ、潜ったら、即、退避だな。
さてっと、指輪を押し付ける窪みは扉にあるな。
場所は同じ。
扉中央だ。
俺は荷物や身なりを確認。
忘れ物や、動きを阻害する装備はなしっと。
さて…行くかっ!
扉へ指輪を押し付ける。
やはり、上へと扉が上がるか。
どう言う仕組みなんだぁ、これ?
っと、見惚れてる場合じゃねぇな。
俺は素早く扉を潜ると、全速力で扉から遠去かる。
後方で轟音が!
っ!
四方八方から、何かが迫って来る気配がっ!
ヤベっ!
素早く身を隠す。
うわぁー
シャウラスの大群じゃねぇかぁ!
奴らは気配察知に長けているかんなぁ。
気配遮断なかったら詰んでたぞ、これ。
触感遮断が有ってもさ、シャウラスに囲まれるのは嫌だ!
精神が持たんわっ!
辺りを見回すと、沼っうか泉?
水辺が、あちこちへと。
シャウラスが居るてぇことは、シャウラもだよな。
先史文明も、厄介な生き物を造ってくれたもんだぜ!
虫型兵器シャウラス。
4枚のトンボのような羽根を持ち、6本の鉤爪が付いた脚を持つ虫だ。
大きさは俺と変わらんな。
強力な顎を持ち、鉤爪で捉えた獲物を食い千切る。
物静かに移動するのに、飛ぶスピードは速い。
しかもホバーリングしつつ辺りを伺ったりな。
コヤツの気配察知能力は高く、とてもでは無いが、俺の力量で察知から逃れることはできないだろう。
本来ならば、だが。
そう、指輪の力か、シャウラスに見付かることは無いみたいなんだよ。
しかしなぁ。
水辺にはシャウラスの幼虫であるシャウラが。
コヤツは毒を吐き掛けてくるらしい。
そんなんが、ウジャウジャと。
シャウラの卵も。
サナギも有るな。
スンゲェ気持ち悪いんですが…ここを通らにゃならんのか?
嫌なんですけど。
けど、ここを通り抜けるしか無い訳で…
この施設造ったヤツ…恨むぞっと。
仕方ないからさ、水辺を進む。
水に足を入れざるを得ない場所も。
水の波紋なんかで気付かれたらシャレに…
ん?
波紋が生まれん?
水の中に足を入れても、水面が乱れた様子がない。
これって、体を覆う膜の影響なのか?
水に入り迂回しつつ移動。
陸地へ上がって…
足跡が付かねぇぞ、これ。
この力さぁ、斥候職には最強の力じゃね?
リターンすげぇなぁ。
まぁ、即死しないのが条件なんだがな。
複雑です。