激闘?亜人討伐!なにそれ、美味しいの?エピソード38
『宝華ちゃんも、その時に?』
思わず、そう聞いたらな。
『そうですじゃ。
あの時、ワシも宝華を庇いながら戦っておりましたがの。
宝華に懐いておったカラスが、宝華を庇っておりました。
そのため、カラスが1番先に力尽きたのですがな。
死んだ後も霊体にて、宝華を庇いましてなぁ。
ワシらが死んだ後、カラスと宝華が妖気を取り込み、融合したのですじゃて。
そして生まれたのが、カラス天狗ですわな』
そんなことがねぇ。
ん?
『そうだとしたら、2人とも元は人で修験者だったんですよね。
とても妖として、悪さをしそうに無いんですが…
なんで式神に?』
調伏されたから、式神になってんだよね?
『むろん、悪さなどは、しとりませんぞ。
ワシらは、元とは言え修験者ですじゃ。
ゆえに、通常は修行しておりましたな。
たまに人から助けを求められまして。
無視もできませぬでな、助けたりと。
それが噂になり申してなぁ、調伏と』
へ?
い、いや…変じゃね?
『人助けしてたんだよね。
悪さは、してないっと?
なんで調伏されてんの?』
意味が分からん!
『ワシらが、妖だからですじゃ。
都の者らにとって理由は、それだけで十分らしいですな。
ゆえに陰陽師を、ワシらの討伐へと差し向けた訳ですな。
それで現れたのが、東明寺の者達でしてなぁ。
彼らは、ワシらに非がないことを理解しておりましてな。
式になることを条件に調伏しない、と申して来た訳です。
ワシは降っても良いが、気に入らぬ相手の式にはならぬ。
さらに、ワシとカラス天狗は、共に扱うのが前提とする。
このような条件を出しましてな。
それを飲んだ故に、式となり申した』
う〜ん…
妖だから悪と決めつけた訳かぁ。
相当なバカか、世間知らずだな。
そんな輩に命じられた、東明寺の方々も災難だったなぁ。
『いや、おそらくは、政治的な問題であろうよ。
国の者でなく、妖が人を助ける。
妖様が助けてくれ、国は何もしないなら国へ従う必要はなかろうな。
こうなれば、国の根幹が揺るぎかねんゆえな』
つまり、人の都合と言うことですか?
『まぁ、そう言うことだな』
クロード様が、そのように教えてくれたよ。
俺からしたら、くだらん理由だな。
それで、無害な妖をも調伏かぁ。
ゲスだな。
『さっきさ、気に入らない者の式にはならない、ってたけど…
俺は大丈夫な訳?
今まで、誰の式にもなって無いんだよね?』
俺が尋ねるとな。
『他の式殿へ対する対応を見ておりましたからな。
降るのに問題ありませんな。
第一…』
『宝華、お兄ちゃんが良いよ。
お兄ちゃんと、行くの』
『こう、申しておりましてな』
伽藍さんが、苦笑してな。
『これはまた、懐かれたものだな』
いや、クロード様?
うーん。
なんで懐かれたんだろね?
まぁ、良いか。
『2人共、これから宜しくね』
『うむ、任されよ』
『うん!』