鉱洞での採掘依頼、エピソード13
なんとか生き延びれた訳だが…今度も何か力を得たのだろうか?
以前に得た五感強化。
これは斥候にとっては最強とも言える強化だったからな。
視力が強化され、遠方や微細な物、暗視まで可能に。
嗅ぐ力が強化され、遠方の匂いや残り香、微細な匂いの嗅ぎ分けもな。
聴力強化では、遠方の音だけでなく、些細な音も聞き分けられたし、反響音を聞き分けての探知も可能に。
味覚強化では、味の良し悪しだけでなく、微細な違和感も分かるように。
鼻と口が強化された事で、どんな異物でも分かるだろう。
毒や菌が含まれた物や空気から異物を関知できるため、それらを、いち早く除去可能となるだろう。
触感に対しては、空気の流れや熱をな。
離れた場所でも感じられるから、物が動く気配や体温、冷たい物も感じられる。
まぁ、目でも熱らしき物が分かるみたいだが、こちらは慣れて無いから鍛錬が必要だろう。
そして大事なのが、急激な現象に対しては遮断してくれるみたい、っと、言うことだ。
まぁ、確定ではない。
っと言うのは、このエリアへ入った時に上へと上がり開いた扉が、扉を潜った途端に落ちるように閉じたんたまが…
結構な轟音がな。
聴力が常時強化されていたら、無事では済まなかっだろう。
っか、間近での轟音だ。
強化前の俺でも、轟音で耳をヤラレていただろうさ。
それが全くダメージを負って無かったからなぁ。
つまりだ、不意に強烈な光や爆音を浴びても大丈夫であり、悪臭にも耐えられるっう訳だ。
壁文さんが書いてたが、味覚を制御できるからさ、不味い保存食も普通に食えるってな。
まぁ…不味いことは、不味いんだが…
このように、五感強化は非常に有用で強力だ。
気配察知てぇのか?
武人の達人が行えるようなことがな。
まだ慣れてないのにコレだ。
これから粉して行けば、より有用になるだろう。
そんな力を得れたんだ。
今回の力は、なんだ?
こちらは命を賭けたんだからな。
有用な力であるハズだ!
そう思い、指輪に嵌った珠を見る。
うん、明滅してんな。
おそらく、指輪を嵌めてた時にも、指輪へ嵌ってた珠が明滅してたんだろう。
あの時はさ、扉を開けることに気が行って気付かなかったからなぁ。
亜人が何時現れるか分からん状態だったし、部屋も明るかったのでな。
あの時に珠を触れていれば、扉を潜った後の暗闇に戸惑うことも無かっただろう。
ん?
そう考えると、扉が閉まった時は稼働して無かったのか?
まぁ、考えても仕方ないか。
だが珠には、ここで触れておくべきだな。
なので珠へ触れたのだが…
俺の周りに何やら膜のような物がさ。
んだぁ、コレ?
触れないし、動きに付いてくる。
害はないようだな、うん。
軽く動いてみる。
ふむ、服を纏っている感じか?
まぁ、全身覆われてるんだがな。
?
足音がしない?
腰の短剣を引き抜き、軽く振るってみる。
風切り音がしないな。
わりと本気で振るってみるが、全く音がしない。
落ちてる石を拾い、壁を叩くが…音がしない?
壁を叩いた振動も、抑えられてるのか?
石を投げてみる。
石が壁に当たると、コチラは音がしたな。
つまり気配を遮断してくれてる訳か…
コレはまた、破格な力を…
見られる以外なら、身を隠すの…が…はぁ?
そんなん思ってると、俺の手が消えた?
なんぞ、これ?
慌てて触ると、手が存在する感覚が。
ふう、見えないだけか。
俺を覆う膜が何かしてんだろう。
触れるから存在が確認できるが…
って、待て!
触った感じが無くなったぞ!
いきなり不安になることすんじゃねぇ!
あ、戻った。
腕も見えるようになったな。
自分で制御可能ってか?
まるでゴーストだな。
実は俺…死んでるっうオチじゃねぇよな?