鉱洞での採掘依頼、エピソード12
壁文さん曰く正解てされる道を進む。
結構、入り組んでいるが、斥候職の俺が迷うことはない。
まぁ罠もないし、足場が悪いくらいだからなぁ。
ってもな、指輪で強化された五感。
特に視力っうか、暗視能力が無ければ、俺でもマトモに動けなかっただろう。
でさ、現在なんだが…
また扉の前に居ます。
いやさぁ、ゴロゴロっうか、なんと言うか…
結構な死体がな。
10数体?
全てが指輪へ新たな珠を嵌めてるようで…
壁には壁文さんの文字と、古代文字がな。
壁文さん曰く。
《生き延びた、俺は生き残れたぞぉ!
この扉。
出口に繋がっててくれ!》ってな。
うん、壁文さんは、先へ進めたようだな。
良かったよ。
そして古代文字の方なんだが…
《次の試練へ進む前に、資格があるかを試そう。
簡単なことだ。
台座の珠を取りたまえ。
それを指輪の窪みに嵌めるのだ。
素質ある者は、先へ進めるだろう。
素質無き者は不要。
さて。
選別の儀を受けるか考えたまえ。
無理ならば引き返すが良い。
落伍者として侮られ生きるも良し、試練へ進むも良しだ》
これって、昔は引き返せたのか?
まぁ俺の場合は、亜人どもが出口を塞いでからなぁ。
引き返せるなら、五感強化だけでも大儲けなんだが…
亜人さん達さぁ、通してくんねぇーかなぁ。
まぁ、無理だわな、ふぅ。
珠を指輪へ嵌めるしか、ない…だろうなぁ
しばらく葛藤しつつ、台座の天板上へ、ふよふよ浮かぶ珠を見る。
側から見たら、親の仇を見るみたいな目で睨み付けてる感じか?
そらなぁ、生きるか死ぬかの境目だ。
すんなり取って指輪に嵌めるのはさぁ。
だって台座付近には死体がゴロゴロってな。
白骨やミイラだが…素質なければ、俺も仲間入りだぞ。
壁文さんは、最初の台座の時も同じ状態だったハズだ。
この状態で、良く指輪を嵌めたなぁ。
やっぱり勇者だよ、アンタ。
ええいっ!
何時迄も躊躇ってても仕方ねぇっ!
男は度胸だっ!
俺は台座から珠を取る。
それを、指輪へ…嵌める、嵌め…
チョット、タンマ!
ふぅ。
冷や汗ダラダラってな。
心臓バクバクだぜよ。
嵌めたら死ぬやもしれん。
いや、周りに嵌めて死んだ死体が。
この状況で珠を指輪へ嵌めるのはバカ?
しかし嵌めないと先に進めず詰む。
頭では分かってる、分かってるんだよ!
くうっ!
ままよっ!わんざくれ!
へへっ、嵌めたぜ、嵌めてやったぜよ。
どうだぁ!
体に異変は…無いな。
生き延びた?生き延びれた、のか?
壁文さんの気分がさぁ、良ぉ〜く分かったよ。
死ぬ可能性が高い行為を、自分から進んで行わねばなんねーんだぞ。
なんて拷問?
この施設造ったヤツ、絶対に性格悪いぜっ!