激闘?亜人討伐!なにそれ、美味しいの?エピソード13
里へ着き、ラクバル爺さんと別れ…ない?
「マスター?
何処まで着いて来るんです?」
リーダーが爺さんへ、訝しげにな。
「物部宅へ同行するぞい」
そんなことを、宣う訳で…
「いや、何故です?
私は、ただカムイ殿へ、任命書を届けに行くだけですが?」
リーダーがマスターを、変人でも見るみたいにな。
っかさぁ、マジで、何を考えてんだ?この爺さん。
リーダーと俺は戸惑いながら、爺さんを連れってな。
着いた先は、物部家の屋敷。
広い庭先へは、放し飼いの鶏が呑気に歩いてんな。
少し離れた場所には池と生け簀が見える。
厩舎には、ヤギにヒツジや牛の姿もな。
庭先の田畑では、使用人や小作人の方々が農作業中だ。
っかさぁ、あの人達の全員が忍者なんだぜ。
全員が忍びとして一流の腕を持ってんだわ。
何気にさ、怖いんですが、ここ。
ちなみに、ここから少し離れた場所に志摩家の道場がある。
あちらでは、剣術を教えているんだが、曙国の剣術なんだ。
こちらの志摩家も農耕や養殖を行いつつ、剣術を教えてる。
とても勤勉で優しい人達だが、決して侮ってはダメだぞ。
俺は見習いの時から先輩に連れられて、ここへ通ってる。
一通りの剣術と忍術は教わってはいるんだわ。
生憎なことに、俺にはマナと気を感じ取る才能がなくてな。
だから体術や剣術の基礎は身に付けれたが、忍術はなぁ。
後さ、なんか俺って、爺さん婆さんの受けが良くてなぁ。
東明寺の先代夫婦から陰陽師の業を教わったりしてるよ。
まぁ、術を発動することは出来なかったんだが…理解が早いって、面白がられてなぁ。
陰陽道ってさ、一種の学問らしいんだわ。
だから術が使えない者も、やる気が有れば教えて貰える。
俺からしたら、不思議なことが一杯で楽しいんだがなぁ。
里の悪ガキ共にとっては学問扱いでな、つまらないらしい。
そんなガキ共と違い、真面目に習う俺が面白いらしく、色々と教わった。
俺が、マナや気を扱えたらと、非常に残念がられたもんさ。
そんな俺が顔を出せば、爺さん婆さん達が気付く訳で…
「おぅ!
ダイ坊じゃねぇか!
また習いに来たのか?
感心、感心」とか。
「おやおや。
ダイちゃんやねか?
こりゃ、一休みすっかねぇ。
茶菓子出すでな、縁側さ、来」などとな。
うーん、若い女性にはモテないが、爺さん婆さんにはモテるんですが…複雑。
でな。
こんな好々爺然とした方々なんだが、忍者なんだよなぁ。
しかも超一流のさ。
だからな。
「ちと、待て!
ダイ坊、お前さん…気を扱えてねぇか?」っと。
「あんらぁヤダよぉ。
ダイちゃんって、マナも扱えてそうだがね。
こりゃぁ、先代様達に、お教えせにゃ!」
いや、大事になるから止めてぇー
っか、なんでマナを扱えるのが分かったし!
『おそらくだが、魔術に似た術に長けた者だと見受けられる。
あのレベルの達人であれば、ダイル程度の技など稚戯にも等しかろうな』
あー
千智婆さんは、陰陽道も齧ってからなぁ。
あの人って、忍術だけでなく陰陽道に風水など、多岐に渡って操るらしい。
そんな達人からしたら、赤子同然かな、おれ。