激闘?亜人討伐!なにそれ、美味しいの?エピソード12
「でぇ、もう一度聞く。
何用じゃ?」
目が笑ってねーんすが、コェーよっ!
「カムイ殿へ急ぎの用がありまして。
この任命証を渡しにに参りました。
この任命の説明も兼ねてですな」
リーダーが告げるとな。
「ほぅ。
一応は、キチンとした理由がある訳か。
して、ここで騒いでおった理由もかえ?」
リーダーの額から冷や汗がな。
まぁ、ラグバル爺さんからしたら、知り合いの庭先で身内が騒いだようなもの。
しかも斥候職であり、隠形を生業とする者がだ。
そらぁ、顔から火が出るほどの恥だっただろーなぁ。
え?
他人事?
いや、俺はリーダーが聞こえる位に配慮して話してたしさ。
あんな声で話したのは、リーダーだけだから。
「ぬっ。
これは迂闊でした。
申し訳なく」って、頭を下げたよ。
むろん、リーダーだけね。
「で、キサマは?」っからさ。
「何がです?
俺は、今話してる程度でしか、声を出してませんが?」
そう告げたらさ、マスターが目を見開き告げる。
「主、声を指向的に発せられよるか。
しかも、相手にのみ聞こえる範囲にのみじゃと?
お主のような幹部クラスの者が、居ったのかぇ?
儂の把握不足であったわい」
なんかさぁ、そんな戯けたことを言ってますが?
だからさ。
「いやいやいや。
俺は駆け出しを抜けたばかりの新米っすよ。
いわゆる、ルーキーってヤツっすね。
幹部なんてぇ、お偉方と一緒にされましても。
それに幹部なんてぇ、書類仕事に追われるヤツは、ゴメンですから」ったたよ。
「ほっ?
そう言えば…雷坊とこの鼻垂れに似とるか?
いや、まさかのぅ。
そのオーラからすると、かなりの手練れじゃて。
ルーキー?
アホなことを申すな」
そんなん言ってますけど?
リーダー、そこんとこ、どうよ。
「いえ、雷光の部下ですよ。
さっきの騒いでしまった原因ですね。
いつの間にか、別人みたいになっておりましてね。
ここまでの道のりを、私に遅れることなく来ております。
この間、伯爵様と模擬戦しまして、伯爵様の猛攻をサラリと躱してましてね。
幹部クラスどころか、我々より上やもしれません」
「ほぅ。
お主に、それほどまでに言わせよるか。
実に興味深い」
亜空間修行、頑張りましたから!
「まままたぁ。
持ち上げるように言っても、何もでないっすから」
誤魔化せた、かな?
「白々しいにも程があろ」
ですよねぇ。
誤魔化せないようだ。
ぐすん。
そんな事を話しながら、足は里へとな。
ゆるりと歩いてるように見えるが、常人の全速力より速かったりする。
だから話してる間にさ、里に着いちまったよ。
さて、爺ちゃんは、何処かいな?
俺が、そう思ってるとな。
「神威殿なれば、ほれ、物部宅じゃ。
孫娘の冬華殿が、ワシらのクランへ加入したいと言い出してな。
まだ早いと言い渡しておるとこじゃて。
あの娘も、言い出したら聞かんでな。
それに、東明寺んとこの佳那殿もじゃ。
ありゃぁ、男絡みじゃな」
あらら、そうなんだぁ。
しかし、あのお転婆娘達がねぇ。
惚れられたのは誰やら。
お気の毒に。