激闘?亜人討伐!なにそれ、美味しいの?エピソード9
領主館から、なんとか脱出に成功した俺は、クランオフィスへな。
ん?
先輩のとこかって?
やだよ、面倒い。
目的地はカムイの爺ちゃんトコね。
あの忍術使いである忍者の爺ちゃんさ。
爺ちゃんは、気を扱う達人でもある。
だからさ、ダダ漏れらしい俺の気を制御するため、爺ちゃんとこ行こうって訳。
でぇ、クランオフィスが入ってる館の前へ来たんだがな。
先輩が入り口で、腕組みして仁王立ちしてんよ。
いやさ、あらかじめ分かってたから、避けても良かったんだが、後から面倒になるじゃん。
過去の俺、恨むぞっと。
先輩、そこ入り口だからさ、通行のじゃまっすよ?
そんなん思いながら、館の入り口へとな。
「先輩、チース!
そんなトコで、何してんすか?
そこ入り口っすから、皆さん迷惑そうなんっすけど?」
そう教えてあげたのにさ。
「この戯けがっ!
テメェーを待ってたんだっ!
何処、ほっつき歩いてやがった!」
そがぁに怒鳴らんでもさ。
「いや、御領主様んトコっすが?
呼び出されてるって教えてくれたの、先輩っすよね?」
ボケたのかな?
「もう行って来たのか?
それで、何の用だったんだ?」っからさ。
「えっとぉ、亜人討伐参加への正式要請っすかね?
リーダー居たし」ったら、先輩が首を傾げる。
「いや、それなら呼び出さんでも、要請可能だろ?
クランへ依頼すりゃ良いんだしな。
本当に、それだけか?」
そう問われたからさ。
「そーっすねぇ。
御領主様と追い駆けっこしたり、なんか訳分からん質問されたりしましたけど…なんで呼ばれたんだろ、俺」
首を傾げて告げてみる。
「はぁ?
追い駆けっこだぁ?
何だ、そりゃ?」
困ったように告げる先輩を前にしてると、後ろから叩かれそうになったので避ける。
「ひでぇーっすね、リーダー。
いきなり叩こうと、せんで下さいやっ!」
そう抗議するとな。
「伯爵様に腕試しとして模擬戦したのに、逃げ回るなっ!
何が追い駆けっこだ、何が!
無礼打ちされんかと、コッチはヒヤヒヤだったんだからなっ!」っうからさ。
「いやいや!
呼び出されて、いきなり追い回されたんっすからね!
相手は大貴族様っすよ!
攻撃できる訳ないじゃないですかっ!
普通は部下にさせますよねっ!」ったら、流石にリーダーも黙ったよ。
勝ったっ!
ん?
何に?
しかしさぁ、あの脳筋熊。
普通、呼び出して直ぐに模擬戦するか?
その後で詰問されたが、普通は逆だろ?
詰問が先で、腕試しは後だ、っーのっ!
「うーむぅ。
確かに、あの対応はなぁ。
俺は慣らされてしまったのか、疑問に思って無かったが…
普通に考えたら、模擬戦にて出迎えるのは…」
いや、慣らされるほど、頻繁なんかいっ!
あれが貴族の出迎え流儀なのか???
『そんな訳があるまい。
あれは、あの伯爵が可笑しいだけだ。
普通は謁見の間での謁見か、応接室で会うものだ。
いきなり模擬戦で出迎える貴族は、聞いたことないが?』
そうなんだ。
でも、実際に居るんだよなぁ。
それが、この街の領主なんだが…
大丈夫か、この街。
いや、待て。
確か…侯爵へ陞爵する可能性があるんだったか?
この国の未来が不安になって来たんだが…
本当に、大丈夫なのか?この国…