鉱洞での採掘依頼、エピソード1
「ようやく、全ての鉱石が揃ったな」
そうゾックが呟くように。
無意識に漏れた言葉のようだが…
「まぁ、これで帰れるんだから良いんじゃね?」っと、ため息を吐きつつ俺は、ある同行者をチラリとな。
他のメンバーも、それは同じらしく、苦笑いを浮かべてるな。
斡旋商から仲介屋をへて請け負った仕事は鉱石の採掘への同行であり、討伐依頼に比べると楽だと言えよう。
だが同行者の1人である剣士が居なければ、だがな。
剣の腕前は良い、いや一流と言えるだろうな。
だがな、常識には欠けると言えよう。
ある道場の三男坊であり、剣の修行と称して剣士クランへな。
見習いを終えての初依頼となった訳だが…
道中でも修行と称し勝手に生き物へと斬り掛かったりな。
斬り掛かられればな、当然抵抗する訳で…
騒ぎで周りの生き物も寄ってきてなぁ。
酷い目にあったぜ!
そんなんだから道中は皆で見張ってな、坑道に着くまでに皆クタクタってな。
坑道内でも、目を離すと道から逸れようとするしな。
迷惑甚だしい!
なので、帰ったらクランを通して苦情を入れるつもりだ。
むろん、それは他のメンバーも同じで、依頼元の採掘クランからの同行者からもだな。
まぁ、予定していた鉱石は集まった訳だし、後は帰るだけだ。
よほどのことがない限り、面倒は起こるまい。
そう思いつつ移動を。
帰りは違うルートにて帰ることにな。
なにせ、こちらのルートの方が出口に近いのでな、当たり前だろうよ。
そんな帰り道にて、くだんの剣士がなぁ。
また道を逸れて行こうとな。
ふざけんな、よ?
すぐさま連れ戻しに…
したらな、依頼クランからの同行者であるドワーフ2人がさ。
「こりゃ、魂消たわい!」っと。
なんぞ?
そう思ってるとな。
「うむ、ここでプラティオンの鉱脈が見付かるとはのう。
まっこと、魂消たわぇ」
そう、ドワーフの相方がな。
その声を聞いた、残りのドワーフが興奮したように2人へと。
いやな、あの気弱な3人が、あんなに興奮して2人へ詰め寄るとは、思いもしなかったよ。
先に鉱脈を確認していたドワーフは戦士でもある。
1人はデカい戦斧を背負っている。
もう1人は、デカい盾を背負い、メイスを装備だな。
2人は鉱夫でもあるが、採掘クランから派遣された護衛でもあるんだ。
まぁ、ここへ来るには、近場の町から森を10日ほど掛けて抜け、さらに山を登る必要がある。
そのため、護衛を揃える必要がな。
そのために雇われたのが、俺たちって訳だ。
狩人クランからは、ゾック。
斥候クランからは、俺だな。
魔術師クランからソリタ。
治癒師クランからリタ。
で、剣士クランからケインだ。
依頼は採掘クランから斡旋商を経由し、複数の仲介屋へと。
仲介屋から登録しているクランへ打診され、連絡を受けたクランにて選ばれた者が依頼を受ける仕組みだな。
複数の仲介屋にて候補チームが紹介される訳なんだが、挙げられたチームの請負金やメンバーを吟味、依頼元が採用するチーム決めるているんだ。
で、今回選ばれたのが、俺たちって訳だな。