世界の格付け
難易度? イージー? イージー……easy……EZ……どういう事だ?
「なっ、なっ、にゃんだってー!?」
あっ猫だ。確かこの子……アープロファンタジーで魔王の側近してた、猫人族の……えーっと、確かハイネル? だったっけかな? 確かゲーム中でも不意に猫語が出るってので、結構人気のキャラだったよなぁ
「魔王様! へーレが難易度をイージーに設定しましたよ! 大変なことですにゃ……」
おっと聞きなれない単語だな……へーレ?
「ハイネルさん?」
「ニャっ!? 魔王様、やっぱりどこかおかしくなったにゃ? 幹部相手にさん付けにゃんて……」
確かにそうだったな……いやでもやっぱり僕が魔王なんだなぁ……
「とにかく! へーレってなんだ?」
「えっ? あっ! すみません! へーレとは私たちの言語で勇者を表す言葉にゃのです」
ふーん。てか言語とかそんな細分化されてるものだったのか?ゲームではそんな話一切聞かなかったんだけど……てかこれが現実っていう確証もないんだよな。夢だって可能性も十分にある。
「それで……魔王様。如何なさいますか?」
あっ口調元に戻った
「どうするかなぁ……」
正直何も考えてない。いやだって……僕少し前まで勇者としてこの世界で戦って、ん? 待てよ?
「ステータス」
〜ステータスを表示します〜
よし! やっぱりな! ステータスが勇者の頃のままなら十分。
『魔王 ミカオル
筋力:650
体力:749
耐性:555
俊敏:389
魔力:3675
魔耐:978』
ステータス変わってんなぁ……てか4桁とか行けるんだ。元のステータスよりは強化されてるっぽいし、何とかなるかなぁ?
「とりあえず勇者がここまで来るのには時間がかかるはずです。それまでに迎撃の準備をしましょう」
「魔王様……とりあえずは医務室へ行きましょう? その喋り方違和感が凄いにゃ」
違和感って……
〜〜〜〜〜〜
勇者名無しよ! ようこそこの世界へおいでくださいました! この世界は魔王によって人類は危機に瀕しております。誠に勝手ながら勇者様にこの世界を救って頂きたいのです!
ってそんな事言われても……今のこの状況の説明が欲しい。さっきまで私、自分の部屋でゲームをやっていたはずなのだけれども……
「あの〜ここは一体、何処なのでしょうか?」
「申し遅れました。余はヒアザリ。この、ヒューマリーダム王国、国王である。そしてここは王城、勇者様を召喚する為に作られた空間でございます」
それは大層な……ワザワザ召喚するためにこんな豪華な部屋を作るなんて。ていうか困るんですけど? 家に帰れるのかしら? 学校もあるし……
「えっと……国王様?」
「恐れ多い! わたくしなどヒアザリと呼び捨てにして頂いて結構です!」
うん。めんどくさいね。
「それじゃあ……ヒアザリ? 私は家に帰れるのかしら?」
「わたくしの力では不可能です。しかし、勇者様をこの世界に召喚したのはエリドヒ神です。エリドヒ神様であれば、勇者様を元の世界にお連れすることも出来るでしょう!」
うーん。元の世界とか言ってるし、これは所謂異世界転移って言うやつなのかな? あの人もよくそういう本読んでたし。てかどうしたら帰してくれるんだろうね? 魔王討伐とか言わないよね? ゲームの中ですら倒せなかったのに。
夢って可能性も捨てきれないかな? 最近ちょっとゲームやりすぎてたもんね? すごくリアルな夢を見てるって可能性も
「勇者様にはこの世界を脅かす魔王を討伐していただきたいのです。魔王は人族を襲い、ここ数百年で人族の領地は大幅に減らされてしまいました」
うわぁ……私まだ返事返してないのに
「それを憂いたエリドヒ神が貴方様をこの世界にお呼びになられたのです。どうか力を貸していただけないでしょうか?」
「もし、嫌だと言ったら?」
「その場合は……それ相応の覚悟をしていただく必要がございます」
「でも私は勇者なのよね? それなりに強いと思うんだけど?」
「それでも、まだ冒険にすら出かけてない勇者様なら経験豊富な騎士達であれば……ですが、そのような事にはならないと願っております」
はぁ。しょうがないよね……やるしか無さそうだし? 夢にしてはリアル過ぎるし。
「分かりました。私は魔王を討伐すれば良いのですよね?」
「感謝します。勇者様」
こうしてこの世界に今代の魔王と勇者が生まれたのであった。
〜ゲーム、アープロファンタジーは世界の格を引き上げます。想像世界から架空現実への格上を承認することがシステムによって決定しました〜