表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/13

景色を背景に


 何かがおかしい。そう思ったのは今朝起きてからだった。通学中、学生たちの会話からアープロファンタジーの単語が聞こえた時、申し訳ないが盗み聞きさせてもらった。

 

 曰く、普通にプレイ出来ているみたいじゃないか? 昨日のプレイの話をしていた。でも昨日はサーバーメンテナンスだったはずなのだ……気になった僕はネットで調べてみることにした。


 @1 アープロファンタジーマジで面白すぎwww

 @2 分かる! 出来が良すぎるよね!

 @3 でもやっぱりバグが多すぎるかなぁ? まだストーリー1章なのに既に次の島に行けるようになっちゃってるし

 @4 え?@3の言ってるのってバグなの? てっきり仕様なのかと


 いやいやいや……普通にプレイできてるのか? 昨日のメンテナンスについての書き込みが一切ないぞ。なんだ、それ……バグ? では無いだろ? だって、サーバーメンテナンスの表示が出るバグとか聞いた事ないし。ん?


 @308 そういえば昨日のメンテナンスいつ終わったんだ?


 おっ? やっぱりメンテナンス受けてたヤツいるんじゃーん


 @311 はぁ?@308何言ってんの? メンテナンスなんてなかったぞ。

 @308 いやいや! 昨日起動したらメンテナンス中って表記が出てたって

 @315 嘘乙

 @308 嘘じゃないって!

 @300 公式にもメンテナンスの項目ないし、目立ちたかったのかな? 中学生かなぁ?

 @308 ホントに昨日は出来なかったんだよ!


 んん? 何が起こってるんだ? メンテナンスがあったって言ってる人もいる? どゆこっちゃ? 出来る人と出来てない人がいた? しかも公式サイトには昨日のメンテナンスの記述は無し?

 そんなことを考えながら歩いていたらいつの間にか学校に着いていた。すごくモヤモヤするけど帰ればプレイ出来ると思うし……とりあえず今日1日頑張ろう!


〜〜〜〜〜〜


「であるからして〜」


 でもやっぱり気になるな。僕の画面ではまず間違いなくメンテナンス中の文字は表示されてたし、実際プレイできてなかった。


「こうなるので、これをこうして〜」


 公式サイトにはメンテナンスの記述は無かったし……いやでも昨日見た時はあったよな? だけど、今開いてみてもやっぱり表示は無いし……


「これを〜みかお! 答えはなんだ?」


 掲示板ではみんなプレイした時の感想を言い合ってるし? ホント何が起こってるんだか……


「みかお! 答えなさい!」


 ただのバグ……にしては奇妙だよなぁ。しかもさっきの掲示板ではメンテナンスになってた人は尽く、インストールに時間がかかったって話だし?


「みかお! いい加減にしなさい! ノーベル賞を作ったのは誰かと聞いているんだ!」

「あっえっ!? 僕じゃないですよ!」

「分かっとるわ!」


 教室が笑いに包まれる。やらかしたなぁ。ついアープロファンタジーのこと考えすぎて授業頭に入ってなかったや。


「えーっと、ノーベル賞は……アルフレッドノーベルさん?」

「正解だ。ちゃんと授業は聞きなさい」

「すみませんした」


 とりあえず気になることも多いけど……一旦は授業に集中しないとな。


 そんなこんなでお昼休み。今日も10秒チャージしてからアープロファンタジーの情報を……って昨日あおいさんに誘われてたんだよな。行かねば。


 まだあおいさんは来てないのかな? そんなことを考えていると


「みかおくーん! こっち!」


 上からそんな声が聞こえてきた。声がした方を見てみれば顔だけ覗かせたあおいさんが屋根の上にいた。


「あおいさん、そんなところに居たら危ないよ」

「大丈夫だから早くおいで! ここ意外と景色が綺麗なんだよ!」


 あおいさんは優等生だと思っていたけど……学校の屋上、の更に上に居るって言うのは優等生のすることでは無いと思う。そしてそこ登るの大変なんだけど?


「それとも……みかおくん怖いのかな? かな?」


 そんな事ないし!? 無いしぃ!?


「うわぁ……この街ってこんなに綺麗だったんだ」


 登って正解だった。ありがとうあおいさん。海に反射した煌めく太陽、後ろには緑生い茂る山々、そんな自然の真ん中に栄える僕たちの街。


「そうでしょー!? 来て正解だったでしょ!? 私結構綺麗な景色見つけて共有するのが好きなんだ!」


 あぁ。とてもいい景色だよ。こんな綺麗な景色が僕たちの身近にあったなんて……


「今の人達はさ? みーんな携帯ばっかり見てさ? ちょっと道端に目をやれば綺麗な花が咲いていたり、夜、空を見上げれば満点の星々がその目に飛び込んでくるって言うのにさ」


 確かに。今日だって僕は携帯を見ながら歩いてきた。帰り道は少し周りに注目してみよう。せっかくこんなに綺麗な街なのだから


「そうだね……僕もちょっと気にしながら生活してみるよ!」

「それがいいと思う! そうだ! もし綺麗な景色とか見つけられた時共有できるように……Rail、交換しておかない?」


 なっ!? なんと僕はあおいさんの連絡先を交換させていただけることになりましたッ!


「是非! これ僕のQR。読み込んでもらえる?」

「オッケー! これでよしっ! それじゃあ私達の初メッセージ記念は!」


 そう言って彼女は僕の後ろに回りこみ、僕たちの街を背景にピースをしてくれた。その写真が、僕とあおいさんの初Railでのやり取りだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ